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強制不妊の個人記録調査、回答率低く 京都3.5%、滋賀57%

 旧優生保護法(1948~96年)に基づく障害者らへの強制不妊手術問題で、被害者の個人記録の保有状況を調査していた厚生労働省に対し、期限の21日までに回答した医療機関と福祉施設は京都府内で対象の3・5%、滋賀県内で57%にとどまることが両府県などへの取材で同日分かった。全容が見えない同問題で、被害者特定につながる可能性のある重要な調査だが、救済には程遠い結果となった。任意で回答を求めたのが一因とみられ、国の姿勢が改めて問われそうだ。

 厚生労働省は7月13日、各都道府県や指定都市に対し、医療機関と福祉施設が保有する個人記録の調査を依頼。通知文で「診療記録の洗い出しなど網羅的な確認を求めるものでなく、把握範囲内で回答を求める。回答は任意」としていた。

 府や京都市によると、府内の医療機関2416機関のうち15機関、福祉施設は76施設のうち73施設が回答。このうち3施設が「個人記録がある可能性がある」とし、他の機関・施設は「個人記録がない又(また)はない可能性が高いと思われる」を選択した。

 県内では、医療機関1143機関のうち648機関、福祉施設は39施設のうち32施設が回答。計3カ所が「個人記録がある」とした上で、計3人分が現存すると答えた。他の機関・施設は「個人記録がない又はない可能性が高いと思われる」を選択した。県はこれまで、断種の適否を決めた県優生保護審査会資料で10人分の氏名を確認しているが、今回の個人名と重複するかどうかは「調査対象外で分からない」という。

 医療機関で回答が少なかったことについて、府こども総合対策課は「個別には状況を聞いておらず理由は分からないが、病院からはもう少し回答がほしかった。古い資料で難しいかもしれないが、追加で依頼することも考えたい」とする。県健康寿命推進課は「自分たちは関係ないと思ったのかもしれない。今後は国の方針に基づいて対応する」とコメントした。

■早い措置求める声広がる 京都・滋賀の8議会で意見書採択

 疾患や障害を理由に旧優生保護法下で強制不妊手術が繰り返された問題で、京都府内と滋賀県内の議会で今年1月以降、被害者の早期救済を国に求める声が上がっている。全体の2割近くに当たる2府県6市町議会が、政府や国会に対する意見書を可決、採択した。法的拘束力はないが、全国でも同様の動きが広がっており、救済法案作成を模索する超党派議員連盟を後押ししそうだ。

 各議会事務局によると、府内では京都市議会が5月に可決し、その後、向日市、長岡京市、精華町、京都府各議会が続いた。県内でも甲賀市議会が6月に可決して以降、大津市、滋賀県各議会が提出を決めた。

 意見書はいずれも衆参両議院議長や内閣総理大臣、厚生労働大臣らに対し、速やかな実態調査と被害者の特定につながりうる幅広い資料収集、被害者の高齢化を踏まえて的確な救済措置をとるように求める内容。

 衆議院事務局によると、提出が最も早かったのは3月16日の宮城県議会。7月22日現在、143件を受理している。

【 2018年09月22日 16時30分 】

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