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温暖化「コシヒカリの限界近づく」 京都・猛暑に強いコメ開発へ

新品種の候補を収穫する丹後農研の職員たち(京丹後市弥栄町黒部)
新品種の候補を収穫する丹後農研の職員たち(京丹後市弥栄町黒部)

 温暖化を背景に、全国でコメの高温耐性品種の導入が進んでいる。日本穀物検定協会による食味ランキングで最高評価「特A」の常連だった丹後産コシヒカリも近年は夏の猛暑で苦戦が続く。京都府は昨年度から暑さに強い新品種の開発に乗り出した。試験栽培や食味検査をする京都府丹後農業研究所(京丹後市)の取り組みを追った。

 9月上旬、黄金色に染まった同市弥栄町黒部のわずか10アールほどの水田。丹後農研の職員が慈しみながら稲穂を刈り取っていく。「北陸246号」「収7520」「収9638」。主任研究員の寺田裕信さん(56)は稲を手に取り、まだ名前のない候補生たちに「食味も収量もコシヒカリを超えるものになってほしい」と願う。

 農林水産省が昨秋発表した地球温暖化影響調査レポートによると、玄米が白濁して品質が低下する白未熟粒が発生したのは、西日本23府県のうち19府県(2016年)に上る。全国27府県でも発生し、近年高位で推移する。

 一方、「きぬむすめ」や「つや姫」など高温耐性品種の作付面積は全国で約9万1千ヘクタール(16年)で、10年から約2・4倍に増えている。ただ、全面積に占める割合は約6・6%と高くはない。

 丹後地域では56年前にコシヒカリ栽培が始まり、全作付面積の約9割を占めるなど栽培が盛んだ。11~14年に4年連続で「特A」に輝くなど産地として高評価を得てきたが、ここ数年は獲得できていない。丹後農研によると、コシヒカリは高温に比較的弱いとされ、西日本でも「丹後が栽培の南限」とも言われてきたという。

 昨年のランキングでは、28年連続「特A」評価だった新潟県の魚沼産コシヒカリが昨年初めて「特A」から陥落し、業界に衝撃が走ったという。丹後でも田んぼの水を夜間に掛け流しにするなど品質維持に向けた農家の努力が続けられているが、大橋善之所長(54)は「気象条件を考えるとコシヒカリの限界が近づいている」とする。

 そこで、府は17年から新品種導入へ試験栽培を始めた。今年は昨年栽培した11品種から3系統に絞り、補欠も加えた5系統を収穫した。気候や土壌への適性度を調べるため、丹後農研や亀岡市の府の関係機関だけでなく、京丹後市丹後町や綾部市、亀岡市の農家の協力で広く栽培した。

 「圧倒的に食味にこだわり、京野菜や京料理にもマッチする京都らしい品種にしたい」と、大橋所長は力を込める。選定には京都市内の老舗料亭や米穀店も参加している。今後は、機械での食味分析や収量調査を重ね、来年も試験栽培を続けて21年の品種登録を目指している。

 丹後では「日本晴」からコシヒカリ栽培に移行した約50年前以来の大転換になるかもしれない。丹後産コシヒカリの特別栽培米で、独自にブランド化している地域も少なくない。産地に根付いた品種になるかは農家や市町の協力も欠かせない。京丹後市農林整備課は「新品種はまだ未知数だが、府や他市、農協と一緒になって未来を築いていきたい」と期待を寄せる。

【 2018年10月07日 12時50分 】

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