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紅葉名所の京都・鞍馬 台風21号の傷跡なお 

台風21号の被害から2カ月、手つかずの倒木が残る鞍馬の山林(1日、京都市左京区)=小型無人機から 撮影・安達雅文
台風21号の被害から2カ月、手つかずの倒木が残る鞍馬の山林(1日、京都市左京区)=小型無人機から 撮影・安達雅文

 京都、滋賀でも暴風による被害が相次いだ台風21号の襲来から4日で2カ月となる。各地の山林では倒木が手つかずのまま放置され、山間部では通行止めが続く箇所もある。テレビアンテナの修理が立て込むなど市民生活への影響が残る中、再起に向けて奮闘する動きもある。

 倒木が山道をふさぎ、周囲の山林を見渡せばおびただしい数の木がなぎ倒されたままになっている。鞍馬寺と由岐神社のある京都市左京区の鞍馬山には、暴風の生々しい傷痕が残る。

 鞍馬寺の本殿までは10月27日からケーブルカーで参拝できるようになった。しかし参道は由岐神社より先が通行止めのままで、復旧は11月中旬を見込む。

 本殿から貴船に至る奥の院方面は、復旧の見通しすら立っていない。よく知られる「木の根道」に近い大杉権現社は倒木に押しつぶされたままだ。これから迎える紅葉のシーズンは例年ならたくさんの参拝者でにぎわうが、今年は影響が避けられそうにない。

 鞍馬山博物館の曽根祥子学芸員(70)は「あれだけの台風だったが、幸いなことにけが人は出なかった。自然の力と人の無力さを改めて感じた」と振り返った。

◇電柱やアンテナ 修理追いつかず

 大規模な停電で、京都府は約16万5千軒、滋賀県は約17万軒に影響した。関西電力によると、9月20日までにすべて解消したが、折れたりひび割れたりした電柱の復旧作業は今も続く。府内で218本、県内で125本の電柱が損壊し、鋼の柱を添えた応急処置のままで立て替えには至っていない電柱も残っている。同社は被害の復旧費用や損害額として計102億円を計上している。

 屋根などに取り付けられているテレビのアンテナにも多くの被害が出た。京都府の家電小売業者でつくる府電機商業組合によると、亀岡市以南の広範囲が被災し、各店が角度の調整や針金での仮固定などを進めてきた。店によっては200~300件の依頼が集中。部品の供給も追いつかず、3階建て以上の屋根など高所に対応できる業者が限られていることなどから、抜本的な工事ができないエリアも残っているという。

 量販店で断られた新規客から依頼が来ることもあり、同組合の中野義一事務局長(63)は「かつてない事態。何とかしようと懸命に動いている」と話す。

◇倒木放置恐れ 通行止め続く

 京都府林務課によると、倒木被害は山林で590カ所に上り、被害額は推計約2億1500万円に達する。京都市北東部の北山や長岡京市の西山に被害が集中しており、同課は「木材が売れない時代なので、公費で除去できる部分を除き、放置される可能性もある」と話す。

 滋賀県森林保全課によると、県内でも85カ所が被災した。被害額は出していないが、大津市葛川や高島市朽木、長浜市西浅井町など県西部、北部の被害が目立つ。同課は「風で倒れた樹木は中にひびが入るなどして建築材には向かないケースがあり、高値では売れにくい」と話す。

 道路も通行止めが続いている。京都市土木管理課によると、台風21号を含め今年相次いだ風雨の被害で市内山間部の9カ所が通れないままだ。左京区北部では鞍馬温泉-花背峠間が10月15日まで通行止めになった。花背地区以北の住民は市街地へ出るのに南丹市や右京区京北地区を経由する長距離の迂回を余儀なくされた。花背別所町の「別所自治振興会」会長藤井順一さん(70)は「普段は車で30分の場所が1時間半~3時間かかった。復旧のめどがなかなか知らされず、住民の不安は大きかった」と話す。

 

【 2018年11月04日 09時02分 】

ニュース写真

  • 台風21号の被害から2カ月、手つかずの倒木が残る鞍馬の山林(1日、京都市左京区)=小型無人機から 撮影・安達雅文
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