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「生活に支障出るのでは」 市民センター再編で拭えぬ不信感

住民から厳しい意見が相次いだ意見交換会(大津市里3丁目・田上市民センター)
住民から厳しい意見が相次いだ意見交換会(大津市里3丁目・田上市民センター)

 大津市の市民センター再編方針を巡り、市が先月から、学区ごとに住民との意見交換会を開いている。市の財政状況などを理由にセンターの一部機能を統廃合する方針に理解を求めているが、生活への影響を懸念する住民から厳しい声が上がっている。これまでの市の進め方に対する不信感も強く、市が住民の理解を得た上で再編案をまとめるには、より具体的な説明とともに信頼関係の構築が求められそうだ。

 「(市役所支所としての)機能がなくなれば不便になる。住民は辛抱しなければならないのか」。11月10日、田上市民センター(里3丁目)で開かれた意見交換会で住民が語気を強めた。市の担当者は「不便にはなるが、少しでも軽減できるように代替案を検討している」と答えた。激しいやりとりは2時間以上に及んだ。

 意見交換会は全36学区を対象に10月中旬から順次開催。11月11日までに25学区で終え、約130人が詰めかけた会場もあった。

 少子高齢化で先細る財政見通しを基に、センター再編の必要性を説く市側に対して、多くの学区で出ているのが「行政サービスが低下し、住民生活に支障が出るのではないか」との声だ。

 農村地域にある田上市民センターでは「支所機能を最も利用しているのは高齢者。今後、高齢化で増えるのになぜなくすのか」「支所が遠くなれば、交通手段はどうするのか」といった疑問が相次いだ。市は検討中の代替案などを示したが、より詳しい説明を求める住民と平行線が続いた。

 センターの防災機能の変更に不安を抱く住民も多い。市の方針では、支所機能がなくなるセンターでは職員が常駐しない代わりに、災害時には近隣に住む職員が対応する。「顔見知りの職員でないと非常時の連携がしにくい」という住民に、市の担当者は「普段から顔の見える関係づくりに努める」と述べた。

 2017年11月、市は2020年度に支所機能を全36カ所から10カ所に集約する素案を公表し、機能廃止対象のセンター名を明らかにした。しかし自治連合会などから予想以上の反発を浴び、越直美市長は3月の市議会で再編時期を見直す考えを示した。以降、市側は素案に言及しようとせず、その姿勢にかえって不信感を募らせる住民もある。

 素案で支所機能の廃止対象とされた中央市民センター(中央2丁目)の意見交換会では、住民から白紙撤回を求める声が上がった。中央学区自治連合会の会長(71)は「撤回してもらわないと(不信感が拭えず)、対等な話し合いはできない」と憤る。

 市は「素案はこれまでの議論の積み上げなので撤回はできない」(市民センター改革推進室)とする一方で、支所機能の配置数などは再検討の可能性を示す。意見交換会の結果を踏まえて再度、案を練り直すという。

 越市長は7日の記者会見で「より良い案を示したい」と述べたが、新たな案の公表時期は明言しなかった。各学区と建設的な議論を進めようとするなら、まずは市が住民との信頼関係の回復に努めることが欠かせない。

【 2018年11月18日 12時04分 】

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