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自衛官募集協力で個人情報提供、自治体の判断分かれる

 自衛官の募集に協力するため、京都市が18、22歳になる市民の宛名シールを住民基本台帳データに基づいて作成し、2019年度分から自衛隊京都地方協力本部に提供する方針を決めた。京都府内で17年度に紙媒体で名簿情報を提供した自治体は、城陽市、井手町、宇治田原町、笠置町、和束町、精華町、南山城村、京丹波町の8市町村。いずれも住民基本台帳から18歳を中心に住民の氏名、住所、性別、生年月日を記載した紙を渡している。従来の閲覧から14年度に紙での提供に切り替えた城陽市は「台帳の内容は国の他の機関にも提供してきた。自衛隊だけできないということにはならない」とする。

 一方、残りの18市町は閲覧にとどめている。全国の自治体も過半数が、各地方協力本部の要請に対して閲覧対応にとどめている。来年度分から宛名シールでの提供を始める京都市は、全ての市民の情報に触れることが可能な閲覧に比べ「不必要な情報を渡さなくて済む」と利点を挙げるが、紙媒体での提供に応じていない市町からは「提供を可能とする根拠が住民基本台帳法にはない」(向日市)、「提供後に自衛隊が紛失すれば、市の責任も問われかねない」(福知山市)などと否定的な声が上がる。府は、自衛隊への提供方法について、各市町村の判断に任せているとしている。

 紙媒体で情報提供している自治体が法的根拠としているのが自衛隊法だ。同法は97条で、自衛官募集に関する一部事務を知事や市町村長が行うと規定している。また、同法施行令120条は、自衛官募集のために必要な時は防衛大臣が自治体に「資料の提出を求めることができる」と定めている。

 ただ、専門家には疑問視する意見がある。個人情報問題に詳しい甲南大法科大学院の園田寿教授(情報法)は「条文が想定する『資料』とは適齢年齢層の概数や応募者数の見通しなどで、住民基本台帳の個人情報は含まれないと解釈するべきだ。個人情報の最も重要な項目である氏名や住所などを提供する法的根拠はなく、(紙媒体での情報提供は)違法の疑いがある」と指摘する。

【 2018年11月18日 13時03分 】

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