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社説:子どもの権利  スポーツ楽しむ環境を

 子どもたちにとってスポーツは、遊びと同様に楽しみながら、体や心を育てる大事な栄養となる。ところが、現実はどうか。

 「世界子どもの日」のきのう、国連児童基金(ユニセフ)と日本ユニセフ協会が「子どもの権利とスポーツの原則」と題した指針をつくり、発表した。

 29年前のこの日に採択された「子どもの権利条約」は、国籍や性別、障がいの有無にかかわらず、すべての子どもがスポーツを楽しむ権利があるとうたっている。しかし、日本を含めた世界各地のスポーツ現場で、子どもへの暴力や虐待、行き過ぎた指導が散見される。

 こうした現状への危機感から、スポーツに特化して子どもの権利を守る指針を初めて策定した。指導者やスポーツ団体、保護者に向けられた指針であり、しっかりと受け止めてほしい。

 10の原則を掲げており、その冒頭に子どもの最善の利益、子どもの意見尊重を挙げている。勝利第一の価値は最善の利益につながらず、生涯にわたりスポーツ参加に消極的になりかねない。試合や練習への要望、不快感を自由に話せることが大切だとする。

 スポーツを通じて大人の価値観を押しつけていないか、胸に手を当てて考えてもらいたい。

 勉強や文化活動などにも時間を配分し、バランスのとれた成長を促す。練習でも科学・医学的な見地から考えることができる、適切な指導者が求められる。学校やスポーツ団体には相談・通報窓口を確保し、第三者を含めた問題解決の仕組みが必要としている。

 保護者は過度な期待を慎み、子どもが無理しすぎないよう配慮してほしい、と助言する。

 指針には触れられていないが、子どもを取り巻く環境は大きく変化している。子どもたちが空き地で草野球を楽しむ光景はすでに見られず、今では学校や地域のチームに入らないとスポーツができないような状況だ。

 ベネッセ教育総合研究所の2017年調査によると、スポーツを楽しむ場所といえば、小学生の6割がスイミングスクールなど民間のスポーツクラブ。中学・高校生は7割前後が学校の部活動となっている。スポーツをするにも、用具費や遠征費などにお金がかかり、親の7割は負担が重いと答えている。親の所得差などで、スポーツをやりたくてもできない子どもたちが少なからずいるのでは。

 子どもの権利という視点からスポーツを見つめ直す必要がある。

【 2018年11月21日 11時12分 】

岸田繁 交響曲第一番・第二番 連続演奏会 2019.10.5

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