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琉球人遺骨返還求め京大を提訴へ 子孫ら「26体を盗掘」

京都帝国大医学部の金関助教授が遺骨を持ち去った沖縄最古級の墓「百按司墓」(今帰仁村教育委員会の2002年修復報告書より)
京都帝国大医学部の金関助教授が遺骨を持ち去った沖縄最古級の墓「百按司墓」(今帰仁村教育委員会の2002年修復報告書より)

 昭和初期に京都帝国大(現京都大)の人類学者が沖縄県今帰仁(なきじん)村にある地元の首長を葬った「百按司(ももじゃな)墓」から研究目的で持ち去った琉球人遺骨の返還を求めて、首長の子孫や沖縄県出身の大学教授らが、京都大を相手取り、来月4日に京都地裁で遺骨の返還訴訟を起こすことが27日、分かった。大学を相手にした遺骨返還訴訟は、アイヌ民族の訴訟に続き全国2例目で、琉球人遺骨を対象にした訴訟は初めて。

 先住民の遺骨を巡っては各地で返還の動きが出ている。違法に収集されたとも指摘されている遺骨の扱いを長年曖昧にしてきた大学の責任が、司法の場で問われることになる。

 訴状などによると、返還を求める遺骨は、1929(昭和4)年に京都帝国大医学部解剖学教室助教授だった金関(かなせき)丈夫氏(1897~1983年)によって百按司墓から持ち出された少なくとも26体(男性15体、女性11体)の骨。墓内に琉球式の風葬で葬られていたとみられるが、金関氏が墓を管理する親族らの許可を得ずに、盗掘したとしている。遺骨は、現在も京大が人骨標本の研究材料として、何ら権限なく占有していると主張している。

 原告となるのは、15世紀に琉球王朝を開き、同墓に埋葬されたとされる第一尚氏の子孫2人と、沖縄県出身で琉球民族遺骨返還研究会代表の松島泰勝・龍谷大教授ら計5人。子孫たちは墓の所有権を有する民法上の「祭祀(さいし)承継者」にあたり、持ち出された遺骨を管理する立場にあると主張。沖縄県出身の原告3人は、国際人権法などに基づく先住民族「琉球民族」の立場で、憲法13条が保障する自己決定権や民族的・宗教的アイデンティティーが侵害されたとして、返還を求める。

 今帰仁村教育委員会によると、同墓は16世紀以前に成立していたとみられ、琉球の葬制を知る上で最古級の文化財とされる。同教委は2004年、同墓の文化財調査の一環で、墓から持ち出されたとみられる人骨26体が京都大総合博物館で保管されていることを確認している。

 京都大は、京都新聞の取材に「総合博物館の所蔵品の全てを把握していない」と遺骨が今も保管されているかは明言せず、「今帰仁村教委から協議の要請を受け、対応について検討中」としている。

【 2018年11月28日 09時10分 】

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