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老人ホーム閉鎖、前払い3600万円返金せず 保全措置なく

昨年8月に閉鎖したマザーハウスひまわり。建物は売却され、塀には宿泊施設になることを告げる紙が貼られている(京都市西京区)
昨年8月に閉鎖したマザーハウスひまわり。建物は売却され、塀には宿泊施設になることを告げる紙が貼られている(京都市西京区)

 京都市西京区嵐山の有料老人ホーム「マザーハウスひまわり」が昨年8月に閉鎖し、入居者8人の入居一時金など計約3600万円が未返金になっていることが29日、分かった。有料老人ホームは自治体への届け出と前払い金の保全措置が義務付けられているが、この老人ホームは未届けのうえ、保全措置も講じていなかった。市は未届けであることを2012年に把握していたが、有効な対策をとっていなかった。

 市によると、有料老人ホームの監督権限が京都府から市に移った12年4月以降、有料老人ホームの閉鎖に伴って未返金が発生したのは2例目。

 市や施設関係者によると、運営会社のスカイ(同区)は約16年前に老人ホームを開設。施設は4階建てで定員17人。代表の女性(67)が息子や従業員数人で、食事や入浴などの介護サービスを提供していた。

 代表が昨年6月、経営不振を理由に施設を閉鎖するため、入居者に同7月末までの退去を求めたという。毎月の食費とは別に、入居一時金としておおむね5年分の家賃や管理費を事前に受け取っていたため、入居後5年未満の入居者を中心にまだ使っていない残金に未返金が発生したとみられる。

 市の聞き取りに対して代表は、未返金があるのは8人で、総額は約3600万円と説明したという。だが元入居者の親族は京都新聞の取材に「代表は閉鎖時の説明会で未返金は1億円はあると話していた」と証言しており、返金を受けていない入居者や未返還になっている金額はさらに増える可能性がある。

 施設の閉鎖後、入居者16人中9人はグループホームや別の有料老人ホームといった高齢者施設に、6人は民間のマンションにそれぞれ転居したが、遠方の親族宅への転居を余儀なくされた入居者もいるという。引っ越し代をはじめ、引っ越し先での家賃や生活費も自己負担した。

 一部の入居者は専門機関や弁護士に相談したが、大半が泣き寝入りしている状態という。

 代表は京都新聞の取材に対し「いつか返金したいと思うが、今は仕事の再開に向けて動き始めているところで、いつまでに支払うという確約はできない」と話している。

【 2019年01月30日 08時00分 】

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