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「フッ化物洗口」虫歯予防に成果 1・40本→0・05本に激減

12歳児の平均虫歯数(2017年度)とフッ化物洗口の実施状況
12歳児の平均虫歯数(2017年度)とフッ化物洗口の実施状況

 滋賀県内でフッ素を含んだフッ化物洗口が子どもの虫歯予防に成果を上げている。小学校などで継続して取り組む市町では、虫歯の平均本数が激減し、未実施市町との差が目立っている。ただ、教職員の負担増が課題となり、小学校で実施しているのは8市町どまり。歯の丈夫さは健康寿命にも影響を与えるとされ、導入の是非を巡る議論の深化が求められそうだ。

 「はい、始め」。教師の合図で、朝の読書中の生徒たちが一斉に机でうがいを始めた。うがい液の中身は歯の再石灰化を促進するフッ化物の水溶液。1分間うがいを続けると、生徒たちは静かに席を立ち、洗面所へ向かう。竜王中(竜王町)では週1回繰り返されてきたなじみの光景だ。

 竜王町では2000年から、幼稚園、保育園、小学校でフッ化物洗口を始め、中学3年まで年々対象を拡大してきた。その結果、同町の12歳児の平均虫歯本数(17年度)は、03年の1・40本から0・05本に激減。県平均(0・71本)も大幅に下回り、県内市町で最少となった。

 同様に中学まで実施する甲良町も03年の2・52本から0・95本に減少した。虫歯が少ない上位5市町はすべてフッ化物洗口を取り入れている。竜王町で虫歯予防に取り組む小島宏司歯科医師は「フッ素洗口をしているのに虫歯が減らない所は全国的にもない」と効果を強調する。

 フッ化物洗口は厚生労働省も普及を進め、滋賀県は14年施行の歯の健康条例で中学までの実施促進を明記した。しかし、県内19市町のうち、全幼保で実施するのは9市町、全小学校の全学年での実施は7市町、中学3年まで行うのは2町にとどまっている。

 その要因の一つとして、複数の市の担当者は「忙しい小中学校の先生の業務負担が懸念され、なかなか広げられない」と実情を明かす。週1回、うがい液を作り、配布する手間があるためだ。微量とはいえフッ素を体に取り込むことを不安視する保護者もいるため、実施市町でも保護者説明会を開いたり、希望者のみを対象にしたりと慎重に対応しているのが現状だ。

 それでも県は「学校などで一斉に行えば家庭環境に左右されず、高い予防効果が得られる」と訴える。虫歯予防は、健康寿命の延伸や医療費の削減にもつながるためで、対象年齢の拡大などを検討する市町も増えている。

 ただ、小島医師はフッ化物洗口だけでなく、「甘い物を控える」といった保健指導も重要だと強調する。00年に竜王町で調査したところ、祖父母と暮らす3世代同居の子は核家族と比べ、虫歯が5・13本と1・71本多かった。親に隠れて菓子をもらう機会が多いためとみられ、ジュースの代わりに茶を飲む運動も並行して展開してきたこととの「相乗効果が大きい」(小島医師)という。

 県内で最も早くフッ化物洗口に取り組んだ守山市も「虫歯は減ったが、歯肉に腫れのある子は県平均より多い。歯医者に行く機会が減ったことも影響しているかもしれない」といい、歯周病の予防を含めたトータルでの対策が必要だと指摘する。

【 2019年01月31日 18時10分 】

ニュース写真

  • 12歳児の平均虫歯数(2017年度)とフッ化物洗口の実施状況
  • 朝の読書時間中にフッ化物洗口を始める生徒たち。虫歯予防に成果を上げている(竜王町・竜王中)
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