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社説:象牙取引規制 日本も禁止に踏み出せ

 象牙取引を巡る日本への風当たりが強まっている。

 後を絶たない象牙目当てのアフリカゾウの密猟を防ぐため、全ての国で象牙や象牙製品の販売禁止を求める提案が、アフリカ諸国からワシントン条約事務局に提出された。

 日本を「世界最大級の市場の一つ」と名指しし、国内取引の規制が緩く、密猟や違法取引を招くと批判している。

 日本は「適切に管理されている」として象牙市場維持の方針を変えていないが、5~6月にスリランカで開かれる締約国会議で投票国の3分の2の賛成があれば採択され、対応を厳しく迫られることになる。

 世界ではアフリカゾウの絶滅への懸念から市場閉鎖が相次いでおり、その潮流に背を向けて取引を続けるのは理解を得にくくなっている。閉鎖を決断する時期ではないか。

 象牙の国際取引は1990年以降、ワシントン条約で原則禁止された。

 だが、密猟がさらに深刻化したため、2016年の締約国会議で、国内市場についても密猟や違法取引に寄与している場合は閉鎖するよう各国に求める決議を採択した。

 今回の提案では「密猟や違法取引に寄与している場合」との条件を外し、より厳格に「国内市場がある全ての国が迅速に市場を閉鎖する」ことを求めている。そうしない限り、深刻な密猟や違法取引は止められないとの危機感の表れだろう。

 16年の決議と前後し、世界では市場閉鎖の流れが定着してきた。米国は密猟がテロ組織の資金源にもなることから国内取引を原則禁止にし、世界最大の象牙市場とされ違法な持ち込みが横行していた中国も、商業目的の象牙の加工や販売を全面禁止にした。香港なども市場の閉鎖方針を示している。

 そんな中で、日本政府は市場に流通しているのはワシントン条約で国際取引が禁止される以前に輸入された象牙だとして、国への登録を条件に販売を認める考えを変えていない。

 ただ、登録が必要といっても完全形の象牙で、加工品は対象外だ。密猟されたものでも、分割・加工されれば合法品と見分けがつかず、紛れて流通しているとの指摘がある。

 提案したケニアやナイジェリアなど9カ国は「密猟や違法取引による象牙を合法に見せかけるロンダリングを可能にし、需要を一層あおり、さらなる密猟を招いている」と日本などの市場を批判している。

 政府は17年に種の保存法を改正し、象牙製品の取扱事業者を届け出制から登録制にするなど管理や罰則を一応、強化した。だが正確な国内在庫量さえ把握できていない中で違法取引を抑止できているとは言い難い。

 民間の野生生物取引監視団体トラフィックによれば、11~16年に日本から違法に輸出が図られたり、輸出されたりした象牙の押収量は2・4トンに上った。

 アフリカゾウは密猟で06年から11万頭減ったとされる。適切な管理で象牙を「持続可能な資源」にできるという見方はもはや通用しにくい。

【 2019年02月10日 12時23分 】

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