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社説:沖縄県民投票 全国民で考える機会に

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設の賛否を問う県民投票が告示された。

 辺野古移設に反対する県民の意思は、2014年と昨年の知事選で示されてきた。それでも県民投票を実施するのは、沖縄の民意を政府が受け入れないからだ。

 結果に法的拘束力はないが、移設問題に絞って県民の意思を明確にする意味は大きい。政府は昨年末以来、土砂投入、新護岸の着手と埋め立ての既成事実を強引に積み重ねているが、民意への向き合い方が改めて問われることになる。

 県民投票条例は制定に必要な署名を大幅に上回る約9万3千人分を市民グループが集めて請求し、昨年10月、辺野古移設の賛否を二者択一で問う内容で成立した。

 だが、県内41市町村のうち安倍晋三政権と協調関係にある宜野湾市や沖縄市など5市長が「2択で民意を推し量るのは難しい」などと不参加を表明。これを受け県議会の与野党各会派は「どちらでもない」を加えて3択に増やす条例改正を行うことで合意し、全県での実施にこぎつけた。

 3択は政治的妥協の産物とはいえ、県民の約3割が投票権を奪われる事態を回避できたことは評価されてよい。ただ全県での実施に向けた努力に時間を費やし、辺野古移設の妥当性や普天間の危険性の除去などについて議論が十分に深められたとは言い難い。

 普天間を拠点とする米海兵隊は本当に沖縄に必要なのか、といった本質的な議論も含め、県政与野党や市民グループは幅広い議論を喚起してもらいたい。

 沖縄の県民投票は1996年にも行われた。その1年前に米兵による少女暴行事件があり、日米地位協定の見直しと米軍基地の整理・縮小に89%が賛成し、全有権者の過半数を占めた。

 それでも民意は反映されることなく今も在日米軍専用施設の7割が沖縄に集中し、辺野古では新基地建設も進む。政府には「防衛は国の専権事項」との考え方が根底にあるからだが、それは沖縄に基地を集中させる理由にはならない。

 民主国家ならば国策の遂行が民意と無関係であってよいはずがない。投票で最多の選択肢が投票資格者の4分の1に達すれば、知事に尊重義務が課せられる。政府も結果を軽んじるべきではない。

 沖縄にこうした県民投票を余儀なくさせる責任の一端は、本土に住む私たちの無関心にもある。基地負担の問題を国民全体で考える機会にしなければならない。

【 2019年02月15日 13時33分 】

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