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小学校卒業式のはかま「悩ましい」 一生の記念、でも負担重い

はかま姿で小学校の卒業式に臨む児童(京都市内)=読者提供、写真の一部を加工しています
はかま姿で小学校の卒業式に臨む児童(京都市内)=読者提供、写真の一部を加工しています

 <質問>京都市内の小学校の卒業式ではかまを着用する児童が増えているが、経済的な負担を感じる親もいるのではないか。中学校の制服を着ることにすればよいのでは。=京都市内の保護者

 卒業式の子どもの服装に悩んでいる-。京都市内の公立小学校に通う児童の親から、京都新聞の双方向型報道「読者に応える」に、LINEでこんな声が寄せられた。学校によっては多くの女子児童がはかまを着用するという。来週は公立小の多くが卒業式を迎える。取材を進めると、一生に一度の式を巡って揺れる保護者の思いや、さまざまな対応をする学校、地域の姿が浮かび上がった。

 京都市内のある小学校の校長は、数年前に赴任してきた時、卒業式ではかまを着用する女子児童が多いことに驚いた。8~9割が着用し、髪を華やかにセットした児童も目立つという。「毎年、転びそうになったり、着崩れしそうになったりする子どもがいてハラハラする」と明かす。

 はかまを着用する理由はさまざまだ。昨年の卒業式で長女がレンタルのはかまを着用した伏見区の母親は「上級生のはかま姿を見た娘が、友だちと一緒に着たいというので選んだ。よい記念になった」。また、2年前に長女がはかまで式に臨んだ中京区の母親は「着物を持っているので、娘に着せたいと思った。和装は日本の文化だし、式にふさわしいと思った」と振り返った。

 ■写真撮影も含めると5万円以上になる場合も

 和装製造卸の京都丸紅(下京区)が2015~17年の卒業生の保護者を対象に行ったインターネット調査によると、はかまを着用した女子児童の数はこの間に2・4倍に増えた、という。同社は「近年、子ども写真館が全国的に増え、和装姿での七五三の記念撮影が一般化した。それを機に着物に良いイメージを持つ人も増え、はかま人気につながっているのでは」と分析する。

 一方で、課題も指摘されている。経済的な負担の重さだ。一般的なはかまのレンタル料は2~3万円とされ、着付けやヘアセットと事前の写真撮影も含めると5万円以上になる場合も。先の小学校長は「経済的に無理している家庭もあるのではないか」と懸念する。

 京都市教育委員会は16年ごろから、卒業式の服装は「式にふさわしい格好で華美にならないように」と保護者に呼び掛けてきた。高い服を着たくても着られない家庭の子どもに配慮する▽卒業式も学校教育の一環で、華美な服装は不適切▽慣れない服装で心身に負担が掛かるのを避ける-ためだという。はかまなどのレンタル予約の時期を考慮し、年度の早い時期に学校だよりなどで伝えている。

 卒業式でのはかま着用に関する議論は、他の自治体でも起きている。名古屋市は、市議の指摘を受け昨年1月、児童と保護者に卒業式の服装に関するアンケートを実施。約45%の保護者が式の服装について「華美になり過ぎている」「経済的負担が大きい」と考えていることが分かった。一方で、服装のあり方は「家庭で判断すればよい」が52%と半数を超え、同市教委は「一律には規制せず、学校ごとに検討する」との対応方針にした。

 京都市教委もほぼ同様の方針で、「保護者によって意見もさまざまで、はかまを着用する児童が少ない学校もあったり、その年によって違ったりもする。最終的には保護者に判断していただきたい」とし、今後も「華美にならないように」と呼び掛けるにとどめる考えだ。

 ■「中学校の制服が慣例」の地域も

 小学校の卒業式の服装は、地域によって伝統や特色もある。進学する中学校の制服を着る地域があるほか、丹後ちりめんの産地の与謝野町では町婦人会が着物やはかまを用意し、女子児童たちの要望に応えている。

 舞鶴市教育委員会によると、市内の小学校では50年以上前から中学校の制服を着る慣例が続いているという。保護者の経済的負担が少ないことなどが理由といい、同市の元教諭は「華美な服装など保護者同士の競争意識が芽生えなくていい」と語る。中学校の制服を着る学校はかつて府内でも多くあったが、保護者や生徒のニーズの多様化を受けて減ってきたとみられる。

 一方、与謝野町では2007年から町婦人会が無償で女子児童にはかまの貸し付けや着付けをしている。現在は町内の全小学校で行っており、同会の芋田保子会長(69)は「子どもが着物に接する機会が減ったため始めた。子どもたちに喜んでもらえるのがうれしく、着物を着て式に参加した記憶が残ってくれれば」と話す。

 京都は和装の産地だけに、京都市内でも呉服関係者が多い学区の卒業式では、はかま姿が目立つ。和装製造卸の京都丸紅の担当者は「伝統的な装いを通じて、家族の良い思い出をつくってもらいたい」と話す。ある校長は「式典にふさわしい服として和装を挙げる考えもある。洋装でも高い服はあり、個人によって華美と考える基準は違う」と指摘する。

【 2019年03月19日 14時30分 】

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