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組長収監「虚偽診断」、検察の不作為を指摘 医師に無罪判決

虚偽診断疑惑事件の主な争点と京都地裁判決
虚偽診断疑惑事件の主な争点と京都地裁判決

 京都府立医科大付属病院(京都市上京区)と康生会・武田病院(下京区)に対する京都府警の強制捜査から約2年。暴力団組長の収監を巡る虚偽診断疑惑事件で唯一起訴された医師に対して、京都地裁は19日、無罪を言い渡した。齋藤正人裁判長は、医師の診断の幅広い裁量を認めただけでなく、医師側からの回答を十分に検証せずに収監の可否を決めた検察庁の手続きの在り方に警鐘を鳴らした。

 「私は専門医として適切な診断を行った。収監可否の判断は検察側にあった」。武田病院の全栄和医師(63)は公判で一貫して無罪を訴え、検察側と真っ向から対立した。

 医師の診断は、高度な専門知識や経験に基づいて行われ、その裁量は広い。特に不整脈は、自覚症状のないものから死に至る重篤なケースまで症状の幅が広く、専門医でも判断が難しいとされる。公判でも、検察・弁護側双方の証人に立った専門医が、全医師の診断の妥当性を巡って違う評価をした。

 判決は、虚偽性を判断する前提となる回答書の記載や体裁に着目。検察側は、確定的な診断を書くべき回答書に「症状が重篤化する恐れがある」などと予測的に記載した点を「虚偽」と主張したが、判決は、照会を求めた大阪高検が医師に確定的な診断を求めていたかは「疑わしい」と退けた。

 その上で、「医師は予測的判断を示したにとどまる」と述べた。高検が曖昧な記載内容を医師に確認することは可能だったにもかかわらず、「その記載趣旨を照会・確認した形跡はない」と、検察の不作為を指摘した。

 診断については、「専門的知見に基づいている」として、証人に立った医師の見解との相違も問題にしなかった。

 一連の事件では、府立医大病院の前院長と担当医が、組長の腎移植後の体調について「拘禁に耐えられない」とする回答書を高検に提出したとして、虚偽公文書作成・同行使容疑で書類送検されたが、いずれも不起訴となった。

 組長の収監逃れ疑惑は何だったのか。全医師は最終意見陳述で「検察が判断に迷うなら、疑問点をもう一度問い合わせすべきだった。部分的な資料で虚偽と判断するのは、捜査機関のつじつま合わせだ」と批判した。検察庁自身が収監可否の判断の在り方も含め、検証する必要がある。

【 2019年03月20日 11時43分 】

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