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社説:統一選を終えて 新たな発想で自治の再生を

 平成時代を締めくくるような日程で行われた統一地方選が終了した。だが、注目を集めた大阪ダブル選などを除いて全般的に大きな盛り上がりに欠けた。

 逆に改めて浮き彫りになったのは、人口減少に伴う地域の衰退、そして「民主主義の学校」といわれる地方自治の危機である。

 平成を通じて問われた課題がさらに深刻さを増し、令和時代に持ち越された。残念であり、これ以上の放置はできない。

 新時代にあやかるわけではないが、課題解決に新たな発想が必要なのではないか。真っ先に取り組むべきテーマとして、地方自治の再生を挙げたい。

■地域の課題向き合い

 道府県の知事・議員選、政令指定都市の市長・議員選が行われた前半戦に続き、一般の市区町村長・議員選がきのう投開票された。併せて大阪12区、沖縄3区の衆院補選も当選者が決まった。

 京滋の後半戦は、無投票となった和束町議選を除く14市町で首長・議員選の投開票があった。投票率は低調だったが、選ばれた人たちはそれぞれの地域の課題にしっかり向き合ってほしい。

 現職と新人の対決となった向日市長選は、非共産勢力の推薦を受けた安田守氏が再選を果たした。人口増と開発が進むまちでは、目まぐるしい変化に対応した行政運営が求められる。

 京田辺市長選は新人2人が争い、元京都府議の上村崇氏が、自民と公明の推薦を受けた相手候補を破った。北陸新幹線の新駅設置を見据えた地域づくりをどう進めるかが問われる。

 木津川市長選は前回と同じ顔ぶれとなり、現職の河井規子氏が4選を決めた。少子高齢化対策をはじめ、将来世代に向けた健全財政の継承も大きなテーマだ。

 豊郷町長選では、町役場庁舎の改築を訴える伊藤定勉氏が、新人を抑えて4選を果たした。

 定数を11人上回る混戦となった大津市議選は多くの新人が当選した。宇治市議選でも世代交代が進んだ。

 ほかに京都では福知山、城陽、八幡、京田辺、木津川、久御山の6市町、滋賀では彦根、近江八幡、栗東、日野、豊郷(補選)の5市町で投開票があり、新しい議員が決まった。

 当選者には緊張感を持って首長や役所を監視し、論戦で議会を活性化してもらいたい。

 今回の統一選では、議員のなり手不足に伴う無投票当選がさらに拡大し、投票率の低下にも歯止めがかからなかった。

■民主主義の機能不全

 前半戦の41道府県選で無投票当選となった選挙区は約4割を占めた。京都府議選では過去最多の5選挙区に上り、滋賀県議選でも3選挙区あった。

 後半戦の86市長選は全体の3割を超える27市が無投票となり、121町村長選では45%に達した。これでは、民主主義が健全に機能しているといえない。

 道府県議選の平均投票率は約44%で過去最低だった。京都府議、京都市議、滋賀県議の3選挙とも最低を更新し、京都市議選は初の30%台に落ち込んだ。

 地方では大政党に有利な1人区が多いという事情もあるが、全体的に自民の堅調ぶりと、野党のひ弱さが目立つ結果となった。

 11知事選でも与野党対決となったのは北海道だけで、しかも与党が推す候補が大勝した。

 有権者に選択肢を示す役割を果たせなかったことを、野党は深刻に受け止めなくてはならない。

 政治分野の男女共同参画推進法の成立後、初の大型選挙だった。女性候補の割合は増え、道府県議選で当選者は過去最多となった。それでも全体の1割に過ぎず、政府の目標にはほど遠い。

 特に自民の女性候補の少なさが際立っている。政権党として範を示す使命を放棄したと批判されても仕方ないだろう。

■一から在り方見直す

 地方選挙や地方議会をどう立て直すのか。それぞれの地域でできることを総動員し、地道に取り組むしかない。

 「持続可能な地方自治」との言い方もあるが、守りの発想になってしまわないか心配だ。この際、全てをいったん白紙に戻すぐらいの勢いで見直したらどうか。

 議員の定数や報酬はもちろん、議会を開く日時や場所、議論の進め方など、これまでの慣習を含め一から考えるのである。

 なり手不足を解消するには、何より地方議会が有権者に身近なものにならなくてはならない。

 多様な人が立候補しやすいように、兼業禁止の緩和や育児手当創設などあらゆる手段を検討する。必要なら地方自治法や公職選挙法などの見直しも目指す。

 既に知恵を絞ってさまざまな改革に取り組んでいる地域も少なくない。先進例を積極的に学び、手本としていく姿勢が大切だ。

 新しく決まった首長や議員には新時代の自治を担う重い責任がある。有権者もわが事として関心を持ち、新たなビジョンで自治再生に取り組む気概を持ちたい。

【 2019年04月22日 11時41分 】

岸田繁 交響曲第一番・第二番 連続演奏会 2019.10.5

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