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「ごみ屋敷」家主に多い要支援者 病気や障害…自力で清掃難しく

「ごみ屋敷」対策条例に基づく強制撤去の対象になった古新聞や雑誌など(2015年11月撮影、京都市内)
「ごみ屋敷」対策条例に基づく強制撤去の対象になった古新聞や雑誌など(2015年11月撮影、京都市内)

 京都市は、2014年11月の「ごみ屋敷」対策条例施行から3年半の状況をまとめた。210世帯を「ごみ屋敷」と判定し、うち165世帯で問題を解消した。行政代執行による強制撤去は1世帯で実施した。市によると、家主は病気や障害など多様な問題を抱えて孤立している人が多いといい、「清掃だけでなく、介護や医療のサービスにつなげるように努めた」としている。

■「判定」8割の世帯で解消

 市の集計によると、18年3月までに近隣住民や地域の福祉機関、消防署などから301世帯について連絡や相談を受けた。市職員が現場を調査し、家主本人らからの聞き取りで286世帯の状況を把握した。物の堆積や放置、多数のペットの飼育、雑草の繁茂が対象世帯の居住者や近隣に与える影響の大きさなどに基づき、210世帯を「不良な生活環境」(ごみ屋敷)、76世帯は「そこまでは言えない」とそれぞれ判定した。

 この210世帯は、単身64・8%、同居30%で、世帯構成者は65歳以上の高齢者が60・5%だった。家主に清掃の必要があると伝え、ごみの出し方などを助言した結果、89世帯が自主的に清掃したが、107世帯は家主だけでは対応できず、市職員や地域住民、福祉関係者らが家主の同意を得て一緒に掃除した。

 清掃を支援した世帯は、高齢や身体機能の低下でごみを出すことが困難だったほか、精神疾患で整理方法が分からないケースが多かった。市は「単なるごみ屋敷の原因者ではなく、要支援者でもある」とみて、公的サービスの活用などによる支援を進める方針。

 行政代執行は15年11月に右京区で行った。家主が自宅前の私道に積み上げた古新聞や古雑誌の撤去に応じず、近隣住民の通行に危険があったほか、火災につながる恐れもあったという。

■介護や後見制度に誘導も

 京都市の「ごみ屋敷」対策で、居住者が多様な問題を抱えている実態が浮き彫りになった。市がごみ屋敷の解消を目指す過程で家主の体調不良を発見し、介護保険サービスや成年後見制度の利用につなげた事例もあった。

 市によると、無職の50代男性と年金暮らしの80代の父親が同居する世帯で、門扉から玄関の間に新聞紙や本、食品トレイが散らばっているのを消防団員が発見し、市が調査を始めた。担当者は2人となかなか会えなかったが、火災を招く危険があるとし、「不良な生活環境」(ごみ屋敷)と判定した。

 その後も地域包括支援センターや民生児童委員らが見守り活動を続け、ようやく会えた男性から「父のおむつを購入した」と聞いた。家を訪ねると、衰弱した父親を見つけたため救急搬送し、介護保険の利用に誘導した。

 この世帯では男性を説得して自主的な清掃につなげることができたが、居住者だけでは清掃が難しい世帯も多い。

 50代女性と80代の母親が暮らす世帯では、女性に精神疾患が認められたため、清掃を支援した。市職員らが女性に家屋内のごみを片付けるよう説得した上で、一緒にごみを処理した。母親は認知症だったため成年後見人の選定にもつなげたという。

 一方、個人の私有財産を「ごみ」と判断して処分を促すことには慎重な手続きが求められる。

 市は処分に際し、家主に一つずつ必要性を確認しているという。行政代執行による強制撤去に踏み切る場合や、支援拒否などのケースでは、学識経験者や弁護士、精神科医らに意見を求めている。

 市はごみ屋敷の対応事例を冊子にまとめ、担当の職員や関係機関に配った。清掃支援の在り方や再発防止策、福祉面の取り組みなどを共有化し、今後のごみ屋敷対策の推進に役立てる。

【 2019年05月05日 18時20分 】

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