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社説:空き家最多 解消した事例の共有を

 ご近所に空き家が増えた、と感じることはないだろうか。

 全国の空き家の数が、昨年10月時点で過去最多の846万戸に上ることが、総務省の住宅・土地統計調査(速報値)によって明らかになった。

 5年前の前回調査と比べ、26万戸も増加した。

 住宅の総数に占める割合は0・1ポイント上昇し、過去最高の13・6%に達した。

 京都は12・8%で、滋賀は13%。8軒あれば、一つは空き家との勘定になる。

 増えたと感じるのは、気のせいではない。差し迫った現実の問題が起きている。

 空き家の多くは、管理が不十分な状態で放置されている。

 景観に悪影響を及ぼすだけでなく、治安の悪化につながり、防災面の懸念材料ともなる。官民挙げて、数を減らしていくべきだ。

 空き家状態を解消するには、中古物件として市場に流通させたり、ほかの施設に転用したりするのが、よいだろう。倒壊が危ぶまれる場合は、解体・撤去するしかあるまい。

 国は、2015年に特別措置法を施行し、移住者への情報提供や旅館などへの転用を促している。自治体には、強制撤去の権限を与えた。また、独自の条例を設けて対応する自治体もみられる。

 今回の調査では、京都、東京など10都道府県で空き家数が減少した。一方で、ほかの37府県では、依然として増加が続いている。どうしてなのか。

 総務省が今年1月にまとめた調査によると、自治体からは「所有者を捜し出すのが難しい」「対応する職員が不足している」といった理由が挙げられた。

 空き家を減らした自治体から、所有者を特定するノウハウや、改装物件などを民間に素早く委ねる手法を、学ぶことが必要だ。成功した事例に関する情報を、共有してもらいたい。

 根本的な原因は、人口が減って需要が伸びないのに、住宅の新築が続いているからだ、との指摘がある。さまざまなタイプの新築物件があるのに、老朽化した空き家を選ぶ人はいないというわけだ。

 空き家の活用だけでなく、今後は撤去を前提にした住宅整備が求められるのかもしれない。

 人口減社会となり、空き家に加え、所有者不明の土地の存在も、大きな問題となっている。所有者特定の難しさなど、共通項は少なくない。知見を結集し、セットで克服していきたい。

【 2019年05月09日 12時02分 】

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