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社説:大阪都構想 丁寧な議論と説明必要

 大阪市を廃止して特別区に再編する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が再び実施される見通しとなった。

 都構想に反対してきた自民、公明両党の地元組織が投票実施に協力する姿勢に転じ、実現を目指す大阪維新の会と合わせると大阪府・市両議会で過半数に達するためだ。

 自公とも、4月の知事・市長のダブル選などで維新が圧勝した「民意」を重く受け止めたという。維新代表の松井一郎大阪市長は「1年半後をめどに実施したい」と述べ、否決された2015年以来、2回目の住民投票が来秋にも行われる方向だ。

 今後、特別区設置の議論が加速する見込みだが、重要なのは都構想の中身だ。ダブル選のような奇策や駆け引きではなく、住民生活と自治体の将来をどう描くのか、丁寧な議論と説明を尽くしてもらいたい。

 自公の方針転換は、地方選と衆院大阪12区補選に立て続けに敗れて追い込まれた形だ。府議会で単独過半数も得た維新の力を見せつけられ、投票容認論が広がった。

 公明府本部は「建設的に議論する」と都構想賛成にも含みを持たせた。松井氏らから、大阪、兵庫の衆院6小選挙区に持つ議席を狙うと揺さぶりをかけられ、関係修復へ踏み込んだように見える。

 自民府連は、都構想反対を前面に掲げた前会長が辞任、新体制で投票賛成へかじを切った。

 ともに、衆院との同日選もささやかれる夏の参院選に向けて立て直したい事情がのぞくが、従来の主張をなし崩しにし、今後の都構想論議にどう臨むのか、有権者への説明責任が問われよう。

 住民投票の実施には、府と市でつくる法定協議会で制度案(協定書)を決め、府議会と市議会で承認する必要がある。松井氏は25年の大阪・関西万博前に制度移行する投票日程を描くが、具体的議論が煮詰まっているとは言えない。

 15年の住民投票で前回案が否決された後、法定協は17年の再設置から23回開かれたが、府と市が示した案は前回5としていた特別区の数を4とし、名称変更したほかは大きな相違点は見当たらない。

 府と特別区で財政や業務をどう分担し、狙いの二重行政の解消につながるのか、住民サービスの低下を招かないか、という「宿題」は積み残されたままだ。

 維新の改革姿勢を評価する有権者の声を踏まえ、具体案や対案を競い合う中で住民に納得のいく合意形成を目指してほしい。

(京都新聞 2019年05月13日掲載)

【 2019年05月13日 11時00分 】

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