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園児死亡の右直事故「直進車も危険想定を」 回避策で専門家指摘

保育園児ら16人が死傷した事故の現場で、「右直事故」の危険性を指摘する小西公昭さん(大津市大萱6丁目)
保育園児ら16人が死傷した事故の現場で、「右直事故」の危険性を指摘する小西公昭さん(大津市大萱6丁目)

 大津市で散歩中の保育園児らの列に車が衝突し、園児2人が死亡し、園児と保育士計14人が重軽傷を負った事故は15日、発生から1週間となる。まだ2歳の男児と女児の命を奪い、多くの人が被害に苦しむ悲劇はなぜ、起きたのか。再発防止には何が必要か。交通事故鑑定の専門家が現場の県道丁字路一帯を歩き、発端となった右折車と直進車による「右直事故」の回避手段や、安全確保に向けた交差点のハード整備の重要性を訴えた。

■過失割合は右折8割、直進2割

 「右直事故は重大な結果につながりやすい」。交通法工学解析研究所代表で、京都府警では交通事故鑑定官を26年務めた小西公昭さん(70)=木津川市=が12日、現場を訪れ、こう強調した。

 現場の丁字路に視界を遮るものはなく、危険な道路環境ではなく、「今回は前方不注視による右直事故の典型だ」とも指摘した。「一般的には、直進優先のため、右折側の責任が重く、過失割合は右折8割、直進2割になる」という。

 関係者によると、今回の事故では、直進車と衝突した右折車は、急発進や急なハンドル操作はなく、ゆっくりと曲がり始めたという。大津署の調べには、右折車の運転手(52)=自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で送検=は「前を見ずに右折した」と供述しているといい、同署が詳しく状況を調べている。

■急ハンドルでも変わるのは2度

 一方、直進車の女性(62)は「右折車を避けようと左にハンドルを切った」と話しているという。小西さんによると、通常、右折車がゆったりした速度でも交差点を通過する直前に曲がられたら、直進車が回避するのは難しい。「右折車が数十センチはみ出して来ても当たってしまう。直進車が急にハンドルを切ることができるのは45度程度。それでも、タイヤの向きは2度くらいしか変えられない」と指摘する。

 大津署によると、運転手2人は事故当時、スマートフォンや携帯電話の操作はしておらず、飲酒や居眠りなども確認されていないという。しかし、前をよく見ていなかったという不注意では済まない重大な結果を招いており、運転する側の意識の向上が求められる。小西さんは「右折車が前方の安全確認を徹底するのが大原則だが、直進車も右折車が出てくる危険を想定して車線の左寄りに走ったり、ブレーキの準備をしたりしておくことが大切」と強調した。

■危険箇所伝えて

 再発防止に向け、小西さんは「ヒューマンエラー(人為的な失敗)を完全に防ぐのは難しい」とし、歩道のハード面の安全対策が急務だと語る。

 事故現場では、縁石がない歩道部分があり、「金属製の車止めポールを2本設置するだけでも安全性は高まる」。事故後に滋賀県が設置した水を入れた緩衝材「クッションドラム」や防護柵、縁石の延長なども有効とみる。

 さらに、幼稚園や保育園、地域住民が、子どもたちが使う歩道で危険を見つけ、自治体に情報を伝えてほしいと呼び掛ける。最後に「市民と行政が協力して、子どもが歩く空間に車が容易に入れないようハード対策を進めてほしい」と求めた。

【 2019年05月16日 10時20分 】

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