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社説:議員の戦争発言 重責自覚し潔く辞職を

 北方領土を戦争で取り返すことの是非に言及し、日本維新の会を除名処分になった丸山穂高衆院議員への批判が止まらない。国会議員として常軌を逸した暴言であり、潔く辞職すべきだ。

 耳を疑うとはこのことだろう。丸山氏は北方領土へのビザなし交流訪問団に参加中、酒に酔い、団長の元島民に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと畳みかけた、という。

 戦争による解決を持ち出すこと自体、言語道断である。失言の域を超え、許しがたい。

 丸山氏は、厳しい批判が相次いだため発言を撤回し、離党届を提出した。丸山氏が過去に飲酒トラブルを起こし、断酒を誓った経緯もあり、維新は議員辞職を促したが応じず、除名処分とした。

 憲法は戦争放棄を明記し、国会議員に憲法の尊重、擁護を義務付けている。丸山氏に平和主義を掲げる国会にとどまる資格はない。

 加えて丸山氏は衆院沖縄北方特別委員を務め、国会議員としてビザなし交流に加わった。職責を顧みない言動により、平和的な返還を辛抱強く待ち望む元島民の気持ちを踏みにじったともいえる。

 難航する北方領土返還交渉への影響も危惧される。「忖度(そんたく)」発言の塚田一郎前国交副大臣や、失言が重なった桜田義孝前五輪相と比べても、国益を大きく損なうという点で、より重大である。

 維新を含め野党6党派は17日、丸山氏の議員辞職勧告決議案を衆院に提出した。ただ法的な強制力はなく、これまで勧告を受けた議員はいずれも辞職していない。

 国民の信託を受けた国会議員の身分は重く、勧告決議は慎重を期さねばならない。とはいえ可決されれば、国会の意思表示として極めて重い。丸山氏は断固、辞職を拒否する構えだが、常に国会議員としての重責を自覚すべきで、出処進退を誤ってはなるまい。

 それにしても維新の対応はお粗末だ。問題発覚当初、松井一郎代表は「言論の自由」を持ち出して丸山氏をかばうような発言さえしていた。厳しい風向きに一転して「国会議員として一線を越えた発言だ」と批判。急きょ除名に踏み切ったが、大阪都構想や夏の参院選を控え、党のイメージ悪化を食い止めたいとの思惑が透ける。

 維新は、丸山氏を除名しても責任を免れない。辞職勧告決議案の共同提出を他党に申し入れるなど火消しに躍起だが、まずは丸山氏が自主的に速やかに国会から去るよう説得する責任がある。

【 2019年05月18日 17時27分 】

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