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社説:携帯料金値下げ 広く恩恵ある仕組みに

 携帯電話大手が相次いで料金の値下げを打ち出している。

 NTTドコモとKDDIは、ともに月々の通信料を最大4割引き下げる新たな料金プランを6月から導入するという。

 「高止まり」とされてきた料金を見直す動きは歓迎したい。ただし、大きな割引を得るには複数の契約条件を満たす必要がある。

 利用者が受ける恩恵は限定的との見方が多く、仕組みの複雑さも相変わらずだ。ケースによっては割高にもなるという。

 多くの利用者にとって分かりやすく、安くなったと実感できるような料金体系へのさらなる見直しや工夫が求められる。

 新料金プランは、通信料と端末代金を分離する仕組みを取り入れている。

 これまでは通信契約を条件に端末代金を割り引く「セット販売」が中心で、値引き費用を回収するため通信料が割高になると問題視されてきた。

 今月10日に改正電気通信事業法が成立し、今秋にも携帯会社に「分離プラン」設定が義務化されるのに応じた動きと言える。ソフトバンクも導入済みだ。

 だが、看板に掲げる「4割引き」を受けるには、2年の継続契約や、家族3人以上の加入という条件を満たさねばならない。家庭向け光回線の加入が条件の場合もあり、家族単位で顧客を囲い込む戦略が色濃くうかがえる。

 2社の値下げ率は、法規制の契機となった菅義偉官房長官の「4割程度下げる余地がある」との発言を意識したのだろう。割高の批判をかわしつつ、値下げを抑える横並び体質が表れている。

 分離プランで通信料が下がる一方、値引き原資がなくなる端末の価格は上がる見通しで、合計で利用者の負担が増える恐れもある。低価格帯の端末の充実が重要だ。

 民間調査で昨年度の携帯電話の国内出荷台数は2年ぶりに減少した。「分離」の一部影響に加え、次第に魅力的な機能進化が減り、必要最低限の機能があればという人も増えているとみられる。中古の端末の流通拡大も進める必要があるだろう。

 長く利用者を囲い込む「2年縛り」契約の見直しも課題だ。高額な違約金が格安スマホへの移行を阻んでいる実態があり、自由に業者を選択できる環境を整えたい。

 今年10月には「第4の携帯」として楽天が新規参入する。利用者にとって納得感のある料金と魅力的なサービスで競ってほしい。

(京都新聞 2019年05月23日掲載)

【 2019年05月23日 11時00分 】

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