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京都府絶滅危惧種のヤドリギ、府土木事務所が知らずに伐採

ヤドリギが寄生していた枝がすべて切り取られた樹木(京都市伏見区)
ヤドリギが寄生していた枝がすべて切り取られた樹木(京都市伏見区)

 京都市伏見区に群生していた京都府の指定絶滅危惧種「ヤドリギ」を、府京都土木事務所が今年2~3月、希少な植物とは知らずに除去していたことが2日までに分かった。府庁組織の「縦割り」で自然保護の担当部署と情報が共有されず、寄生していた枝ごと全てのヤドリギを切り落としていた。同事務所は「環境の部署と連携がとれず反省している」としている。

 除去したのは同区三栖町1~4丁目の宇治川派流沿いの府が維持管理する土手約500メートル区間。土手に並ぶ樹木に多数寄生していた。2017年以降、住民から「寄生した枝が道路に覆いかぶさり危険」「エノキが枯れる」「寄生植物でみっともない」などと除去の要望があり、同事務所はヤドリギが寄生する一帯の落葉樹の枝を全て切り落とした。

 府は02年に策定したレッドデータブックでヤドリギを絶滅危惧種に指定し、15年改定でも指定を継続した。絶滅につながる脅威として「樹林の伐採」と明記。保全対策として「寄生した落葉樹は残すよう、(せん定などの)作業従事者の意識高揚をはかるより方法はない」と記したが、対策は徹底されず、土木事務所などへの注意喚起も行わなかった。

 府立植物園によると、ヤドリギは自ら光合成もするため寄生した木を弱らせることはないという。除去された現場近くに住む女性(68)によると、実はレンジャクなどの鳥の餌となり、バードウオッチング愛好家にも知られたスポットだったといい、「危険箇所の除去は理解できるが、根こそぎ切り落とす必要があったのか。住民に希少な植物であると説明した上で、一部を残す対応もできたのでは」としている。

 組織の縦割りがもたらしたずさんな対応について同事務所は「再発防止に努め、今後情報共有を徹底したい」と反省する。希少種の生息地を府が完全には把握できていない課題もあり、府自然環境保全課は「生息地のデータベース化を急ぐなど、同じような過ちが起きない態勢を整えたい」としている。

【 2019年06月03日 07時30分 】

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