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社説:対トランプ政権 米依存外交でいいのか

 「米国第一」を掲げ多国間協調に背を向ける米トランプ政権に、日本はいかに向き合うべきか。

 安倍晋三首相は「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を旗印に足しげく外遊を重ねてきた。意欲を示す北方領土問題や拉致問題の解決で特筆すべき成果がみられない中、トランプ大統領が就任以降の米国との親密、追従ぶりが際立つ。国際社会の目にどう映っているのだろう。

 「米国第一」のためには世界の分断もいとわないトランプ流は、国際秩序を大きく変えつつある。

 地球温暖化防止の国際枠組みのパリ協定から離脱を宣言し、米国を軸に12カ国で進めた環太平洋連携協定(TPP)から抜けた。米欧など6カ国がイランと結んだ核合意を破棄し、中東情勢は不安定に。中国向けに強硬な通商戦略を連発して米中貿易摩擦を生み、世界経済へ影を落とし始めている。

 身勝手さが目に余る。日本は国際協調の枠組みに立ち返るように米国を説得すべきではないか。

 「日米同盟は盤石」ならば、言うべきは言う関係でなければならない。対米協調は重要とはいえ、米国の方針に追随、依存するだけでは「真の同盟」ではない。

 来年に大統領選挙が迫り、支持者向けにトランプ流「米国第一」の政策は一層強まるに違いない。そんな兆しが日米安全保障条約の見直し発言からも垣間見える。

 米大統領が日米関係の根幹である安保条約に疑念を示すのは極めて異例だ。米軍駐留経費負担や通商交渉で揺さぶりをかけるのが狙いかもしれないが、日米安保体制への理解を欠き、不当と言うほかない。安倍氏がトランプ氏と会談やゴルフを重ね、改元後初の国賓として歓待して関係構築に腐心してきたのは何だったのか。

 トランプ氏の予測不能な言動のリスクを改めて実感せざるを得ない。親密さの中身を検証し、外交戦略を練り直す必要がある。

 参院選公約で、自民党は「力強い外交・防衛で、国益を守る」と訴え、安倍氏とトランプ氏の親密外交を支える。対して、野党側は「平和を守る現実的な外交へ」(立憲民主党)のように安倍政権との対立軸を打ち出す。ただ具体的な対米政策は日米地位協定の改定や沖縄県・米軍普天間飛行場の辺野古移設中止などにとどまる。

 交渉相手を力でねじ伏せる「ディール(取引)」に「パフォーマンス」を織り交ぜたトランプ流外交に、どのように対峙(たいじ)すべきか。与野党で論戦を深めてほしい。

【 2019年07月03日 13時00分 】

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