出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

投資にはまった元巡査長、警察の信頼失墜招く 現金詐取で起訴

京都府警本部(京都市上京区)
京都府警本部(京都市上京区)

 「警察への信頼を大きく損なった」。特殊詐欺対策を悪用し、高齢者から現金を詐取したとして詐欺罪で、京都府警山科署地域課の元巡査長の男(38)が起訴された事件。金融機関との連携に支障を来しかねない前代未聞の不祥事に、京都府警の植田秀人本部長は神妙な面持ちで謝罪の言葉を繰り返した。

 事件の発端は、金融機関から府警に寄せられた一本の緊急通報だった。「高齢者が高額出金しようとしている。特殊詐欺被害の可能性がある」。被告は同僚とともにすぐに金融機関に出向き、被害者の男性と接触した。男性から資産情報を聴き出すと、男性が自宅で保管していた現金だけでなく、預金も詐取しようと画策したという。

 逮捕後の捜査で見えてきたのは、投資で身を滅ぼしていく被告の姿だ。2015年末から外国為替の上げ下げを予測する金融商品に没頭。捜査関係者は「ギャンブル性の高い投資で、一度ぐらいは良い思いをしたのかもしれないが、結局、大きな損失を抱え込んだ。家族に内緒で貯蓄も使い果たし、にっちもさっちも行かなくなった」と打ち明ける。

 今回の不祥事は、全国の警察が金融機関と連携し、特殊詐欺対策を推進する中で起きた。今後の取り組みへの影響も懸念される中、ある府内の大手金融機関の担当者は「警察との信頼関係は崩れた。職員には、警察に対しても猜疑(さいぎ)心を持って対応するよう、朝礼などで指導している」と打ち明ける。

 被告が逮捕された当日、府警は首席監察官名での短いコメント文を報道各社に配布しただけで、府民に対する謝罪の言葉はなかった。しかし、事件がもたらした反響は大きく、被告が勤務していた伏見署などには苦情電話が相次いだ。最終的に、植田本部長の謝罪会見に追い込まれる事態となった。

 同志社大の太田肇教授(組織論)は「警察業務を滞らせないためにも、市民の信頼回復が急務だ。警察は膨大な個人情報を収集しており、こうした情報の取り扱いに関するマニュアルやチェック体制を抜本的に見直す必要がある」と指摘する。

【 2019年07月09日 11時41分 】

ニュース写真

  • 京都府警本部(京都市上京区)
京都新聞デジタル版のご案内

    地域の政治・社会ニュース

    全国の政治・社会ニュース