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ノロ・ロタウイルス感染対策、休園できない保育園の苦悩

おむつ替えのスペースが区切られ、調理スペースとの動線が交わらないような構造となっている0歳児のフロア(京都市上京区・中立保育園)
おむつ替えのスペースが区切られ、調理スペースとの動線が交わらないような構造となっている0歳児のフロア(京都市上京区・中立保育園)

 「子どもが通っている保育園で、園児がノロウイルスとロタウイルスによる感染性胃腸炎に集団でかかった。保育園の安全衛生について啓発してほしい」。京都市内の母親から、京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」にそんな依頼が寄せられた。保育園の衛生対策には国が定めたガイドラインがあるが、現状を取材すると一筋縄ではいかない保育園の現状も見えてきた。

 当該の保育園のホームページを見ると「子ども・職員数人からノロウイルスが検出」「ロタウイルスと診断された人が4人」と記載があった。事実関係に間違いはなさそうだ。だが園に取材を要請したものの、多忙を理由に断られた。

 そもそも保育園ではどういった対策が採られているのか。厚生労働省は2009年に「保育所における感染症対策ガイドライン」を定めており、近年も改訂を重ねている。

 ガイドラインは「寝具」「プール」など12のケース別に、園内の衛生管理の手法を例示。「保育室は日々清潔に保つ。ドアノブ、手すりなどは水拭きした後、アルコール消毒を行うと良い」「おもちゃは遊具を用いた都度、湯などで洗い流し干す。午前・午後で遊具の交換を行う」などと事細かに記載している。

 さらに「おむつ交換は食事をする場所などと交差しない一定の場所で実施する」とあり、汚染されたおむつを処理する経路と食事を運ぶコースが重ならないように配慮し、万一ウイルスが飛散しても問題が起きないよう留意している。

 このようなガイドラインを受け、保育の現場ではどのように対応しているのか。上京区の中立保育園を訪ねた。

 同園の0歳児クラスのフロアをのぞくと、西側にトイレやおむつ替えをする部屋があり、壁や引き戸で仕切られていた。作業は戸の内側で完結するといい、東側にある調理スペースとは動線が交差しない構造になっている。

 さらに各クラスには園児用の洗面台も設けてあり、子どもたちには手洗いや自分専用のタオルで手を拭く習慣が身に付いている。タオル掛けには、字を読めない幼児でもほかの子のタオルと混同することがないよう、自分のタオル掛けに動物などのシールを貼付。特定の子が感染症にかかったとしても、拡大しないように努めている。

 とはいえ、こうした対策を講じて感染の可能性は下げられても、完全に封じ込められる保証はない。万が一、集団感染が起きた場合、拡大を防ぐために臨時休園するという選択肢はないのだろうか。市幼保総合支援室は「保育園は親の就労支援を目的とする施設のため、小中学校の学級閉鎖のような措置はない」と説明する。臨時休園にすると働く親が子どもの預け場所に困ることになるためだ。

 杉山純子園長(66)も「保育を必要とする人がいれば、受け入れる準備をするのが保育園の使命。一斉休園などはこれまでにしたことはないし、考えたことはない」と言い切る。病気や体調の悪い子どもはなるべく病児保育や祖父母宅に預かってもらうなど、感染症が持ち込まれないように留意しているという。

 「感染症は一つ間違うと広がってしまう。不審者や交通安全の対策もしないといけないし、園には見えない重圧がのしかかっている」。子どもたちを預かる苦労をそう吐露した杉山園長だが、「0~6歳というダイナミックな成長期を見られる。保育はしんどいだけでなく楽しい仕事です」とやりがいを口にすることも忘れなかった。

■嘔吐したら、早めの受診を

 保育園の衛生対策に詳しい京都女子大の間瀬知紀教授(健康科学)の話 保育園では以前見られたようなタオルの共用がほぼなくなってきた。手洗いの徹底も行われている。しかし、それでも感染症が発生するのは、保育園が集団生活の場なので避けられない部分がある。

 保育園でも、家庭でも、子どもが吐いた場合はまず感染症を疑うべきだ。処理の際は飛沫(ひまつ)や接触感染を防ぐため、使い捨ての手袋やマスク、エプロンを着用した上でペーパータオルなどで嘔吐(おうと)物を拭き取る。汚れた床などは0・1%に薄めた次亜塩素酸ナトリウムをかけて10分ほど置いて消毒する。

 感染症が疑われる際には早めに医療機関を受診させた方がいい。仕事が忙しく、受診が難しい人もいると思うが、しんどい思いをしている子どものために早く診察を受けてほしい。

【 2019年07月10日 10時24分 】

ニュース写真

  • おむつ替えのスペースが区切られ、調理スペースとの動線が交わらないような構造となっている0歳児のフロア(京都市上京区・中立保育園)
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