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宿直非常勤のみ…虐待被害の子らの一時保護所、課題多く 京都府

一時保護所が併設されている京都府宇治児童相談所。築32年で老朽化し、子どもの住環境としての課題も残る(京都府宇治市)
一時保護所が併設されている京都府宇治児童相談所。築32年で老朽化し、子どもの住環境としての課題も残る(京都府宇治市)

 虐待などの被害を受けた子どもの緊急保護先となる一時保護所だが、その実態はあまり知られていない。現場を知る複数の関係者によると、心に傷を負った子どもを受け入れる施設としては課題も多いといい、「子どもファーストの視点での環境改善が必要」と指摘する。

 一時保護所の出入り口は施錠され、外部と遮断されている。子どもを取り返そうとする人もいるからだ。子どもたちは学校に行けないことが多く、日中は「学習サポーター」たちから教わりながら学習プリントなどをこなす。体育祭や修学旅行といった主要行事に参加できなかったり、進路について学校から適切な指導が受けられず、子どもが不利益を被ったりすることもあるという。

 一時保護所内の規則は自治体によってさまざまだが、現場を知る男性は「監視的な規則が多いところもある。子どもによっては『自分は悪くないのに、なぜ息苦しい思いをしないといけないのか』と不信感を抱くこともある」と打ち明ける。一時保護所が併設されている宇治児童相談所は築32年がたつなど、全国的に老朽化した施設も多い。

 京都府が運営する一時保護所は正職員が少なく、夜間の宿直や土日曜は非常勤の職員だけで子どもの世話に当たる環境が続いている。民間のサイトにも求人を出しており、必要な免許や資格、経験は「不問」となっている。「保育士・社会福祉士などの資格があれば望ましい」とのただし書きはあるが、適性をどう判断しているかにも疑問符が付く。

 現場を知る男性によると、入所する子どもたちは、親元に戻るのか、施設に入るのか、自らの先行きに不安を感じているケースが多い。就寝時に「寝つくまでそばにいといて」などと求めてくることもあるというが、「個々の子どもに細やかに寄り添える態勢ではない」と指摘する。

 現場に詳しい別の関係者は「子どもの処遇に関わる大事な所見を非常勤職員が書くところもある。虐待で傷つき、配慮を要する子どもには継続的に対応できる経験豊富な正職員が必要」と訴える。

 ◆職員配置、明確な規定なく

 一時保護所に詳しい和田一郎・花園大教授の話 一時保護所の職員配置は児童養護施設の基準を参考にすることになっているが、義務付けられた明確な規定はない。そのため夜間の勤務手当が必要な正職員を置かない自治体が出てくるのが実態だ。専門知識のある正職員の下で働くのならまだしも、非常勤職員だけの時間ができるのは好ましくない。子どもが不安になりがちな夜こそ正職員を配置する自治体もあり、首長の方針一つで態勢は強化できる。京都府、京都市とも一時保護所の定員自体がニーズに対して不足しているのも大きな課題だ。

【 2019年08月12日 10時30分 】

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