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高校の校則で買い食い禁止って? 厳しいルール、学校に言い分も

買い食いをすると叱られる高校がある
買い食いをすると叱られる高校がある

 校則が厳しい―。買い食いが禁止され、学校帰りにコンビニでアイスを買って食べようとすると叱られる高校もある。京都新聞の双方向型報道「読者に応える」に、LINEでこんな切実な声が寄せられた。学校側に校則を定める理由を聞いた。

■「晩ご飯食べられない」 

 「校則自体は他校とほぼ変わらないと思う。ただ、校則を守らせる度合いは各校に差があり、その点ではうちはしっかり守らせている」。意見を寄せた読者が通う、京都市内の府立高の副校長が説明した。

 同高では卒業生の一定割合が就職の進路を選ぶ。服装や身だしなみ、話し方など社会で認められる人材として高校から送り出すことができるよう、校則を厳しく守らせているという。

 買い食い禁止に関しても「下校途中にお菓子などを食べると晩ご飯が食べられなくなり、栄養面で偏りが出る。マナー面でも不快に思う人がいる。そこを気にする人になってほしい、との願いを込めている」と説明し、「ただ遠方から通学する生徒もおり、部活後におなかがすけば持参したおにぎりを校内で食べるなど『補食』をしてほしい」と求めた。

■学校「生徒の将来考えて」、納得得られぬ面も

 この府立高校では、校則として生徒手帳の「生徒心得」の欄にまず「質実にして清楚(せいそ)な態度で行動しよう」などと記した上で、「授業でみだりに席を替わったり立ったりしない」などと記載。服装、頭髪にまつわるルールも「ソックスは紺色または黒色(ワンポイント不可)」や「女子の髪の長さは、前髪は眉毛にかからない程度」「男子の長髪は禁止する」と定めている。副校長は「生徒のおしゃれをしたい気持ちも分かるが、どこかで線を引かないと際限がなくなるから」と理解を求めた。

 京都府南部の校則が厳しいとされる別の府立高も訪ねた。「男子の頭髪は耳にかかってはいけない。ツーブロックは禁止」「マフラーは白か黒、灰色」などの決まりがあるという。

 副校長は「頭髪や服装のルールは、就職面接を受ける時のことを想定して定めている。清潔感やマナーを常に意識するよう求めている」と説明する。頭頂部は長めに残し、サイドや後頭部を刈り上げる髪型のツーブロックについても「ある企業に生徒の就業体験の受け入れをお願いした時、ツーブロックの生徒が拒否されたことがある。社会での髪型の受け止め方は人によって差がある。それだけにうちでは厳しい基準に合わせている」と語った。

 両副校長とも地元で校則が厳しいとささやかれていることは認識していたが、「生徒の将来を考えてのこと。学校本来の目的は授業。そこに時間や労力を費やすために校則がある」と強調した。「生徒のマナーが悪く、学校の評判が落ちれば企業からの求人も寄せられない」との本音も聞かれた。

 生徒はどう思っているのか。「慣れれば何も思わない」との意見が多かったが、「ツーブロックは社会人でもしている人がいる。それくらいいいかなと思う」(3年男子)、「マフラーの色は『統一感を出すため』と先生に聞いたが、あまり理解できなかった」(3年女子)など納得できていない声も聞かれた。

 学校は、性格や価値観が違う生徒たちが集まる。そこで落ち着いた学びを実現するために一定のルールは必要、との考えは教員、生徒に共通していた。ただ、その運用を巡っては、2017年に大阪府立高で生徒が生まれつき茶色っぽい髪を黒く染めるよう教諭らに強要され不登校になったとして大阪府が提訴されるなど、たびたびトラブルも起きている。

 指導方法に関して、市内の副校長は「教員の仕事は、校則違反を取り締まることでなく、生徒に理解してもらうこと。それができなければ教員の指導力不足だ」と語った。市内のある生徒指導担当の教諭も「昔ほど怒鳴るような指導はしていない」と明かした。

 校則のあり方について、同志社大の大島佳代子教授(憲法・教育法)は「校則自体の問題と、校則違反に対する指導の問題を分けて考えるべき」と話す。「校則を守らなかった時の指導は、生徒に詳しく事情を聞いた上で、違反の程度に応じた適切な指導がなされるべきだが、しばしば画一的な指導や行き過ぎた指導が行われている」。「校則を守らせるためなら何をしてもよい訳ではない。指導の名の下で子どもの学習権をはじめとする人権を侵害することは許されない。校則や指導のあり方を学校以外の第三者がチェックすることが必要なのではないか」と提言する。

 近年は生徒と協議して校則の一部を緩和する高校も多い。新学習指導要領は、主体的に考え、行動する人間の育成を目指すだけに、校則の内容や指導のあり方について生徒と学校、保護者らで話し合う機会がもっとあってもよいのではないだろうか。

■ともに疑問も対話の場なく

 髪や髪型に関する校則がある理由を先生に聞いたことがある中高生は1割に満たないことが、日用品メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)が今年2月に行った「髪型校則に関する調査」で分かった。

 現役中高生や高卒以上の男女600人にインターネットでアンケートしたところ、69%が「自由な髪型が許されてもよい」と考えていたが、91%が「髪型校則がある理由を教員に聞いたことがない」と回答した。

 中高校の現役教員200人にも調査したところ、70%が髪型校則に「疑問を感じたことがある」とし、87%が「髪型校則をアップデートすべき」と答えた。

 同社は「学生、先生ともに髪型校則に疑問や課題を持ちつつも、双方で対話をする場がないと推測される」としている。

【 2019年08月25日 10時30分 】

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