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京アニ事件で犠牲、石田敦志さんの父会見 「息子を忘れないで」

会見する石田敦志さんの父、基志さん(27日午後、京都市伏見区・伏見署)
会見する石田敦志さんの父、基志さん(27日午後、京都市伏見区・伏見署)

 社員35人が死亡した「京都アニメーション」(京アニ)第1スタジオ放火殺人事件で、京都府警捜査本部が27日、残る犠牲者25人の氏名を明らかにした。人気アニメ映画「けいおん!」などで動画を担当した石田敦志さん(31)の名前もあった。府警の発表を受けて石田さんの父、基志さん(66)が同日午後7時、伏見署で記者会見し、「これからも京都アニメーションを応援して下さい。石田敦志というアニメーターがいたことを、どうか忘れないで下さい」と訴えた。

 石田さんは、映画「けいおん!」や「たまこラブストーリー」「聲(こえ)の形」「響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ」などで、原画を清書し、その間の動きをつなぐ何枚ものカットを描いていく工程「動画」を担当。「今後の抱負」について「キャラクター、エフェクト、などなど素早くかつ丁寧に卒なくこなせるように」と誓っていた。

 基志さんは「敦志は末っ子で唯一の男の子。親思いでした。温厚で人と争うのが嫌いで」と人柄を振り返り、「夢を追いかけ、高いハードルを自力で飛び越えていった。エンドロールに敦志の名前を見るのが楽しみで。私たちに夢と感動えを与えてくれました。敦志のことを多く知ってもらいたい。それしかできることがありません」と語った。

 31才の若さで亡くなったことについて「人生にこんなに苦しくて、悲しくて、悔しいことがあるとは思いもしなかった。胸が張り裂けそうだ。卑劣な犯罪者のために、多くの才能が亡くなり、傷付けられ、残念でならない」と声を振り絞った。

■「クリエーターで名前がある」

 基志さんはさらにこう語った。

「こういうみっともない姿を、いい歳した男が涙ながらにお話したのは、京都アニメーションのクリエーターは選ばれた方々、息子を含めて希望と誇りを持って仕事をしていたと思う。それぞれの名前を持っています。私の息子は石田敦志という名前を持つ。それが(犠牲者数の)35分の1で、果たしてそれでいいのか。ほかの方々への批判ではありません。クリエーターで名前があり、頑張ってやっていた人たちに、残されたものができることは、多くの人に記憶して頂く、忘れないでくださいということしか、できないと思うのです」

 「自分としてはしんどい時期だが、あえてこういう場に出させていただいた。石田敦志、それだけでなく理不尽な被害にあった個々の名前を、京都の伏見、宇治に長く残してほしいのです。特別な所になりました。私どもが敦志に会える、そういった慰霊碑を残していただければと切に願います」

■「はにかむ笑顔が印象に残る」

 敦志さんは今年が入社10年目だった。伏見署での会見で、時折涙に声を詰まらせながら、父は思い出を語った。

 「うれしそうだったのは、それはなんといっても最初に石田敦志の名前が出た『けいおん!』2作目だったか、それが動画のところに出たとき。はにかむ笑顔が一番、印象で残ってます」

 「7月24日に捜査本部から電話をいただき、残念ながらDNAが一致したということを聞いた。しかし、正直なところ、いまだに実感はない。埋めきれていない。遺影を見ても、はにかんだいつもの笑顔、その顔がこの世にいないんだというのが、どうしても飲み込めないのです。私は確かに敦志だと、(遺体との)対面のときも確認しましたし、事実は頭の中にあるが、いまだに本当なのかというのが正直なところです。遺影は、あこがれていた上司の石立太一監督(映画「境界の彼方」など)と一緒の写真。彼らしい、うれしくてたまらないのに、はにかんだ笑顔。これが敦志なんです」

 「石立さんには何度も(福岡まで)足を運んでもらいました。石立さんがいうには『石田くんがいないと今の京アニはない』と。『すばらしいキャラクターで、こう育てるにはどうしたらいいか』といってもらえました」

 「敦志が愛した京アニを応援してください。石田敦志というクリエーターがいたことをどうか、忘れないでください。心よりお願いします」

 「名前を出さないでくださいという方々がたくさんおられます。その気持ちは痛いほどわかります。だけども、わたしの思いを述べると、残った我々ががんばりたい。わたしども家族はいっている。他の方々にそうしてくれというのではないのです。バッシングもあるかもしれないが、われわれががんばる。石田敦志の名前を出したい。それが一番の思いです」

【 2019年08月27日 19時30分 】

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  • 会見する石田敦志さんの父、基志さん(27日午後、京都市伏見区・伏見署)
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