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社説:待機児童対策 ニーズに合う受け皿を

 希望しても認可保育所などに入れない待機児童は4月時点で1万6772人で、調査を始めた1994年以降で最少となった。

 昨年より3千人余りの減少で、保育の申込者が7万人増えたものの、各自治体での受け皿の拡大が上回った。

 ただ、都市部で保護者の希望に沿わないミスマッチも目に付き、施設急増による保育の質低下に不安の声も聞かれる。

 政府の目指す2020年度末までに「待機児童ゼロ」の達成は見通せず、10月に始まる幼児教育・保育の無償化でさらに高まる保育需要への対応が問われる。

 単に受け皿を増やすだけでなく、働く親のニーズや地域の実情に合った環境整備が求められる。

 待機児童は都市部に集中する傾向が続き、首都圏と近畿圏、その他の政令市、中核市で全体の約6割を占める。京都府86人、滋賀県459人で、ともにやや増えた。

 雇用環境の改善などで働きに出る親が想定以上に増え、受け皿整備が追いつかない現状がある。

 認可保育所が見つかっても自宅や職場から遠かったり、きょうだいで別の施設となる場合が少なくない。送迎が大変で、短時間勤務など就業抑制につながっている。

 このほか、近い施設だけを希望しているなどの理由で集計から除かれた「潜在的な待機児童」が約7万4千人おり、昨年より6千人増えた。預け先のない切迫した状況が改善しているとは言い難い。

 政府は18~20年度の3年間で32万人分の受け皿を整備する方針だが、現時点での設置計画は29万7千人分にとどまる。

 都市部で計画通り土地を確保するのが難しかったり、保育士が足りずに増員枠を受け入れられなかったりする事態も出ている。

 さらに幼保無償化によって新規の申し込みに加え、長時間保育のニーズも増える可能性がある。保育士の不足や過重労働がより深刻化し、保育の質を保てるか懸念されている。

 京都市は退職した保育士に復職を促すなどしているが、確保には抜本的な処遇改善が欠かせない。

 保育士の平均年収は全産業平均より約150万円低い。政府は段階的に上積み改善を支援しているが、多額を投じる幼保無償化の予算に比べるとわずかと言わざるをえない。保護者からも「無償化より全入」と政策の優先順位を疑問視する声が上がっている。

 数合わせの「待機ゼロ」ではなく、安心して子どもを預けられる受け皿づくりこそ重要だ。

【 2019年09月10日 13時20分 】

岸田繁 交響曲第一番・第二番 連続演奏会 2019.10.5

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