出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

琵琶湖一周、マナーであつれき 自転車と車、独自ルール必要

琵琶湖沿いのサイクリングを楽しむ人たち。車と自転車の共存が課題に浮上している(高島市鵜川)
琵琶湖沿いのサイクリングを楽しむ人たち。車と自転車の共存が課題に浮上している(高島市鵜川)

 自転車で琵琶湖を一周する「ビワイチ」の人気が高まる中、自転車と自動車がいかに共存するかが課題に浮上している。琵琶湖の周囲は車と並走する区間も多く、ビワイチ体験者の増加に伴い、事故や渋滞の多発が懸念されるためだ。今後も自転車を利用する観光客が増えると見込まれる中、サイクリストとドライバー双方のマナー向上や滋賀独自の自転車ルールの整備が求められそうだ。

 ■サイクリスト倍増の勢い

 先月17日、英国人の一行がビワイチを楽しんだ。その1人は、訪日旅行専門の旅行会社を経営するサイモン・キング代表。「小さな村や家の建ち方を静かに楽しめた。イギリスからの送客も十分可能だ」と満足げに語り、宿泊施設の様子などを確認していった。

 滋賀県によると、2016年度にビワイチをした人は約7万2千人。15年度の5万2千人から4割増え、海外への観光PRにも力を入れている。20年度の目標は現在の2倍に当たる15万人。県ビワイチ推進室は「琵琶湖を見れば、サイクリストの増加が実感できる。15万人に向けて順調に推移している」と手応えを語る。

 ■クラクション怖かった

 だが、自転車と車のあつれきも生まれ始めている。

 「ビワイチ中、車からクラクションを鳴らされて怖かった」。今年8月、県のビワイチ推進計画を議論する有識者の懇話会では、自転車愛好家から悪印象を指摘する声が出た。一方で、バス事業者も「バスから見ると自転車は本当に怖い。ずらり並ぶと、なかなか追い抜けない」。ただでさえ渋滞が多い県内の幹線道路に自転車が増えることで、ストレスを感じるドライバーの声もちらほらと聞かれ始めている。

 県や国は、車道の脇に自転車が通ることを示す青い矢印形の道路標示「矢羽根」を施すなど対策を進め、安全確保に力を注いでいる。ただ、自転車を完全に分離した道路の整備は用地的にも財政的にも難しい。「自転車に配慮した優しい運転をドライバーの皆さんに呼び掛けたい」(三日月大造滋賀県知事)というのが現状だ。

 ■ルール知らない利用者も

 自転車側のマナー向上が重要だとする意見も根強い。自転車利用の促進を目指す一般社団法人「輪の国びわ湖」などが11月に開いた意見交換会では、車道の右側を走ったり、歩道で徐行をしなかったりと、マナーやルールを知らない自転車利用者にどう対応するかが議論となった。

 車と自転車の共存に向け、県の有識者懇話会では、「独自のビワイチルールがあれば、それがブランドにもなる」、「地域の理解を丁寧に得ていく必要がある」などの意見が出ている。

 輪の国びわこ推進協議会の藤本芳一代表は「ゆっくり走る人」を増やすことで、幅広い人が訪れるようになるほか、お金を使う機会が増え、地域との交流も生まれると指摘。「地元に受け入れてもらうためには、住民との交流をいかにつくり出すかが大きな課題だ」と語り、顔の見える関係を築くことが互いに譲り合うことにつながると期待を込める。

【 2017年12月19日 12時00分 】

ニュース写真

  • 琵琶湖沿いのサイクリングを楽しむ人たち。車と自転車の共存が課題に浮上している(高島市鵜川)
京都新聞デジタル版のご案内

    滋賀のニュース