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外国人にウケる繕いの心 伝統文化の粋、京都に凝縮

糊づくりの作業に取り組むフランス人のローゼンジヴェグさん。「将来は海外にある日本絵画の修復に携わりたい」と夢を語る(京都市下京区・宇佐美松鶴堂)
糊づくりの作業に取り組むフランス人のローゼンジヴェグさん。「将来は海外にある日本絵画の修復に携わりたい」と夢を語る(京都市下京区・宇佐美松鶴堂)

 日本の伝統技術の粋が集まる京都の街で、技の習得に励む外国人がいる。日本人でも極めるのは難しい分野に、彼らがあえてチャレンジする心とは?

 ■修復重ね将来へ継承

 文化財修復や表具の仕立てで知られる京都市下京区の「宇佐美松鶴堂」。フランス出身のヨアン・ローゼンジヴェグさん(36)=上京区=は、直径約50センチの鍋に入った糊(のり)を木の棒でかき混ぜていた。

 火加減を変えながら40分。液状だった糊は固まり、混ぜた後の線が残るようになった。「最初は力の入れ具合が難しかった」。額や首に噴き出た汗も気に留めず、昨秋の入社時を振り返り笑った。

 神社仏閣が多いこともあり、表装の技術が洗練された京都。表具屋も多く、良質な材料や道具類がそろう。特に「海外で美術品の修復に携わる者には宇佐美松鶴堂はとても有名」と、ローゼンジヴェグさん。

 隣国ベルギーで美術品の修復技術を学ぶ中で日本の和紙の存在を知った。「薄くて繊細、なのに丈夫」。コウゾやミツマタなど自然にある素材で手作りした紙を修理修繕に使う文化に引かれた。

 新しいものを生み出すことに主な価値を置く西洋と違い、日本は修繕の文化を大切にしている…。「何百年も前に作られたものが修理修繕を重ねて、将来へと継承される文化は素晴らしい」。京に根付く「繕いの心」に、ローゼンジヴェグさんは近づこうとしている。

 ■スモールタウンに詰まる自然美

 「日本は季節感を大事にしている。特に京都で受け継がれてきた文化には、自然美が込められている」。裏千家教授でカナダ出身のランディー・チャネル・宗榮さんは京都文化の魅力を語る。

 チャネルさんは武道を学ぶため1983年に初来日。文武両道を目指してたどり着いたのが茶道だった。93年に裏千家学園茶道専門学校(上京区)に入学し、京で暮らし始めた。茶道に親しめる場をと町家を探し、2007年に中京区の三条会商店街でカフェ「らん布袋(ほてい)」を開いた。

 チャネルさんは茶道を「総合芸術」と表現する。建築や造園、香、竹細工、障子など、多様な芸術とつながっているからだ。そして、その底流には「自然美」を大切にする文化がある。

 例えば、冬は客人に炭を近づけ暖かく、夏は遠ざけ涼しく。いけばなや掛け軸、京菓子、着物でも四季に合わせた草花などの絵柄を取り入れ、自然の移ろいとともに、その美を楽しむ工夫が散りばめられている。

 「日本の文化は世界の宝物。外国人にも心は通じます」とチャネルさん。その「心」が詰まった「国際的なスモールタウン(小さな街)・キョウト」のさらなる世界への発信を、今、考えている。

【 2017年10月16日 16時10分 】

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