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外国人観光客ひしめく錦市場 京都のウラ側、失わぬ「らしさ」

外国人観光客でにぎわう錦市場。食べ歩きが人気を集めている(京都市中京区)
外国人観光客でにぎわう錦市場。食べ歩きが人気を集めている(京都市中京区)

 串を刺した魚介類を歩きながらおいしそうに頬張る人、揚げ物や甘味を味わう人が所狭しとひしめき合う。当たり前のように英語や中国語が飛び交う。約380メートルのアーケードに125店舗ほどが軒を連ねる錦市場は外国人を中心に観光客を引きつけている。

 米国の大手旅行雑誌の人気観光都市ランキングで京都が初めて世界一に輝いた2014年頃から、爆発的に押し寄せるようになった。

 活気ある風景だが、ある店主は「錦らしくない店が増えてきた」と漏らす。近くの住民からは「もう地元民の来るとこちゃうかも」との声が聞かれる。京都の台所として食文化を支えてきた錦市場は観光地化が著しく進む。

 しかし、よく目を凝らすと異なる風景が見えてきた。

 「ブリは水温が低い方が、身が引き締まっておいしい。タイには明石の水が合う」。卸と小売りを兼ねる鮮魚店「かね秀」の主人伊藤勝彦さんは話す。確かな「目利き」。季節ごとに、どの魚がどこの産地が新鮮でおいしいのかを知っている。手触りなど長年の経験と勘、産地の漁師と築いた信頼関係があるからこそだ。

 よく錦市場を利用するという観光アドバイザー鳥井光広さん=上京区=は「少し値段は高いが、客が目利きできない分を店にお任せしている料金が入っているようなもの」と考えている。

 鯨肉のコロやみがきニシンをはじめとする乾物、季節の京野菜を漬けた漬物など普段使いのスーパーにはない昔ながらの食材が並ぶ魅力がある。「祖父母の代から親しむ味がある。他の場所にはあまり売ってないし、あっても錦にはかなわない」と鳥井さん。

 地下水が豊富だったため、古くから市として栄え、1615年に江戸幕府から魚問屋の権利を得て現在の市場が形づくられた。明治期に特権を失い、中央卸売市場ができて半数の魚問屋が移転した。近年では百貨店やスーパーの進出など何度も危機を迎えている。

 全国的に商店街が疲弊している中で、変化には柔軟に対応しながら「らしさ」を失わずに苦難を乗り越えてきた。年の瀬にはおせち料理に欠かせない食材を求める大勢の市民らでにぎわう風景が、今でも京の台所であることを物語る。

 振興組合理事長の宇津克美さんは「時代の流れには逆らわないが、流されてはだめ。どんな時代にあっても本来の姿を忘れてはいけない。ちゃんとした土台があるから錦市場は400年以上続いている」と力を込める。

【 2017年10月27日 18時58分 】

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