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朱印集めブーム、人はなぜ巡るのか? 京都、記者も体験

「洛陽三十三所」締めくくりの札所で朱印をしたためる僧侶(京都市上京区・清和院)
「洛陽三十三所」締めくくりの札所で朱印をしたためる僧侶(京都市上京区・清和院)

 朱印ブームと言われて久しい。立ち寄った寺や神社で朱印帳を差し出すだけでなく、古くからある巡礼コースに出掛ける人も多いようだ。朱印に人気が集まるのはどうしてか。なぜ人は巡るのか。京都市内で代表的な霊場「洛陽三十三所観音巡礼」の全ての寺院を記者が巡って朱印を集め、理由を探った。

 洛陽三十三所は、2府5県にまたがる巡礼の最古参の観音霊場「西国三十三所」を模してつくられた。京都市内の観音菩薩(ぼさつ)を祭る寺院を集め、平安末期に後白河天皇が創始したと伝わる。応仁の乱による中断を経て江戸時代に復活したが、明治維新の廃仏毀釈(きしゃく)で再び廃絶。2005年、町中や東山連峰に点在する7行政区の33寺院で再興された。

 一番札所の六角堂(頂法寺、中京区)は市中心部のビル街の一角にある。「西国-」の十八番札所でもあり、おいずりに輪袈裟(わげさ)姿の巡礼者が多い。「必ずしも順番通り回らなくてもいいですよ」。職員が朱印を押しながら話す。納経料(朱印代)は各札所共通で300円だ。

 繁華な六角通を東に10分ほど歩くと、二番の誓願寺(同区)に着いた。市内有数のにぎやかさを誇る新京極商店街の中にあり、参拝も買い物も楽しめる。さらに寺町通を北上し四番の革堂(こうどう)(行願寺、同区)に入った。西の空は赤くなっていた。その日のうちに一つでも多く朱印をもらおうと思うと、自然と足が速く動いた。

 多くの札所は京都盆地の「底」にあるが、東山連峰にある清水寺(東山区)や泉涌寺(同区)、神楽岡にある真如堂(真正極楽寺、左京区)にもあり、激しいアップダウンを体験した。参拝しながら観光も楽しめる。何より歩いてお参りできること自体が健康である証拠だ。

 札所を巡って気付いたことがある。どこも観音菩薩を祭っているのに寺の宗旨は天台宗や浄土宗、真言宗など多岐にわたる。多様な教えに触れたり、由緒書きを読むことで意外な歴史を発見したりできる。

 別の日に二十八番、壬生寺中院(中京区)の朱印所で待っていると、会社員藤原重治さん(55)=左京区=に出会った。2年前、市内の神社を巡る「京都十六社朱印めぐり」を全て回ったことをきっかけに、各地で朱印を受けるようになったという。「朱印帳を見て参拝した日の思い出を振り返られるのが魅力。洛陽三十三所も回ってみようと思う」と話した。

 平成洛陽三十三所観音霊場会の広報担当で壬生寺中院住職の松浦俊昭さん(50)は「洛陽三十三所の巡礼者は再興以降増え続けている。日本各地だけでなく外国からの参拝者も多く、台湾ではガイド本も出版されている」と語る。

 締めくくりは清和院(上京区)。満願証(千円)をお願いすると「おめでとうございます」と祝福された。寺を後にし、粉雪が舞う中で達成感をじんわりとかみしめた。

 徒歩とバス、地下鉄で8日間かけた巡礼の旅。季節が変われば異なる風景が見られる。春か秋にもう一度回ろうと心に誓った。

■洛陽三十三所の札所は次の通り。(数字は札所番号)

 (1)六角堂(頂法寺、京都市中京区)(2)誓願寺(同区)(3)清荒神護浄院(上京区)(4)革堂(行願寺、中京区)(5)新長谷寺(真如堂、左京区)(6)金戒光明寺(同区)(7)長楽寺(東山区)(8)大蓮寺(左京区)(9)青龍寺(10)清水寺善光寺堂(11)同奥の院(12)同本堂(13)同朝倉堂(14)同泰産堂(15)六波羅蜜寺(16)仲源寺(17)三十三間堂(18)善能寺(19)今熊野観音寺(20)泉涌寺(21)法性寺(以上、東山区)(22)城興寺(南区)(23)東寺(教王護国寺、同区)(24)長円寺(下京区)(25)法音院(東山区)(26)正運寺(中京区)(27)平等寺(因幡堂、下京区)(28)壬生寺中院(中京区)(29)福勝寺(上京区)(30)椿寺(地蔵院、北区)(31)東向観音寺(32)廬山寺(33)清和院(以上、上京区)

【 2018年02月04日 11時40分 】

ニュース写真

  • 「洛陽三十三所」締めくくりの札所で朱印をしたためる僧侶(京都市上京区・清和院)
  • 洛陽三十三所の札所
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