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高3少女2人の機微描く 京アニ「リズと青い鳥」山田監督

「リズと青い鳥」の一場面。北宇治高吹奏楽部の鎧塚みぞれ(右)と傘木希美は、親友のはずだが…。
「リズと青い鳥」の一場面。北宇治高吹奏楽部の鎧塚みぞれ(右)と傘木希美は、親友のはずだが…。

 京都アニメーション(京都府宇治市、通称京アニ)の新作映画「リズと青い鳥」が21日から全国公開される。前作「聲(こえ)の形」や「たまこラブストーリー」「けいおん!」で知られ、少女たちの日常を繊細なタッチで描くことに定評のある山田尚子監督の最新作。高校3年の少女2人に寄り添い、羽ばたく前の思春期の機微を「ため息や瞬(まばた)きも大切に撮り切った」作品になっている。

 「清涼感の中に生々しさのある空気感。悩みの中の微熱、ささやかな変化を取りこぼさぬよう積み重ねた」と山田監督は振り返る。

 宇治出身の武田綾乃の小説「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」を原作にしている。京都・宇治を舞台に、吹奏楽に青春を懸ける高校生たちを描く人気シリーズの一環。

 2016年の劇場版第1作(石原立也監督)や17年の劇場版第2作(小川太一監督)は、金管のユーフォニアムを吹く黄前久美子を主人公に、部全体の合奏場面も多く含んだ作品だった。一方、今作は、久美子の1年先輩で高3の鎧塚(よろいづか)みぞれ(オーボエ担当)と傘木希美(のぞみ)(フルート担当)という2人に「過剰なぐらい的を絞った」。

 シリーズ演出を手がけてきた山田監督が、一連の話や時の流れに矛盾がないよう踏まえつつ「カメラ位置やフォーカスを変える」ことで「今までシリーズを見たことのない人でも楽しめる一本の映画」として作り上げた。

 内気なみぞれと、活発な希美-。対照的な2人は親友のはず。しかし、高3最後のコンクールで演奏する曲「リズと青い鳥」で、オーボエとフルートが掛け合う場面の練習でうまくかみ合わない…。

 触れれば壊れてしまうような彼女たちを、かすかな目線の変化や息づかいも感じれるほどの静謐(せいひつ)の中で描く。

 劇中「リズと青い鳥」という創作童話の世界を表したファンタジー場面を織り交ぜる。自由に空を飛び回れることが幸せのはずなのに“鳥かご”に閉じ込めてしまう…という葛藤を描き、狭い世界に閉じこもりがちな少女たちの物語と通底させる。

 従来のシリーズ作では京阪電車や宇治川といった風景も多く描かれていたが、今作では「一歩先も見えないぐらい頑(かたく)なに日々を過ごす少女たち」を象徴するように学校内の場面が大半になっている。

 音作りにもこだわった。架空の北宇治高のモデルにしている莵道(とどう)高(宇治市)に実際に出向き、ガラス窓を開けたり、机やいすを動かしたり、日常的な物音を撮って活用した。

 現在、京アニでは「響け!ユーフォ-」シリーズ本編の続きとなる「久美子2年生編(仮)」も石原監督が中心となって制作している。山田監督は「それぞれのキャラに一番寄り添える形で分担し、私も本来のシリーズ演出として関わっていきたい」としている。

 「リズと-」はMOVIX京都などで公開。

【 2018年04月21日 09時13分 】

ニュース写真

  • 「リズと青い鳥」の一場面。北宇治高吹奏楽部の鎧塚みぞれ(右)と傘木希美は、親友のはずだが…。
  • みぞれ(左)のオーボエと、希美のフルートの演奏は、かみ合わず、距離を感じさせた…
  • 先行試写会であいさつに立った山田尚子監督(中央)。右側は、「響け!ユーフォ」シリーズ監督の石原立也氏
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