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旧満州での戦闘、文と絵で克明に 滋賀・野洲

旧満州で激しい戦闘を経験した故松波益男さんが描いた絵の拡大コピーが並ぶ会場(野洲市辻町・野洲図書館)
旧満州で激しい戦闘を経験した故松波益男さんが描いた絵の拡大コピーが並ぶ会場(野洲市辻町・野洲図書館)

 終戦前後に旧満州で旧ソ連軍との激しい戦闘を経験した滋賀県野洲市の男性が残した記録などを集めた「のどかの家ギャラリー展」が、野洲図書館(同市辻町)で開かれている。展示を企画した市内のNPO法人は「戦地を生々しく伝える作品を見てほしい」としている。

 1月に93歳で亡くなった松波益男さん。松波さんは1945年8月上旬から、敗戦後の下旬までの旧満州における戦争体験を日記につけていたという。85年ごろから、それらを基に「終戦40年を記念して」と題し、新聞折り込みチラシの裏56枚に絵を描き、その様子を文章で振り返った。

 松波さんは昨年3月から市内の高齢者施設「のどかの家高木」のデイサービスを利用していた。運営するNPO法人の田中ふじ江代表は「松波さんは『見てもらいたいものがある』と、絵を示しながら何度も戦争体験を話してくれた」と振り返る。同法人が毎年開催するギャラリー展で「多くの人に貴重な記録に触れてほしい」と、遺族から全ての絵を借り、A3判に拡大コピーして並べた。

 展示された日記表紙には「璦琿陣地戦闘記 満州第六国境守備隊砲兵第二中隊」などと記されている。旧ソ連軍との戦闘が始まったという9日の絵では、「肉が鉄に勝てる筈(はず)がない ただ祖国の勝利を信じ上官の命ずるまま戦車に飛込んだ」とつづり、銃剣を構える日本兵を描いた。

 終戦を迎えた15日の絵は、「(陣地に)敵はじりじりと迫る」などとし、旧ソ連軍の戦車と日本兵が対峙(たいじ)する緊張状態を表現した。日本の敗戦を知ったという21日には、兵隊が白旗を持って集まる姿を描き出し、「国の御楯と笑って散った戦友の笑顔が目に浮かぶ」と記した。

 田中代表は「松波さんの作品は戦争の悲惨さを教えてくれて、胸に刺さる。後世に伝えていきたい」と話す。

 その他にも高齢者約30人が作った切り絵や塗り絵など約100点を展示する。17日まで(14日休館)。無料。

【 2018年05月13日 11時13分 】

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