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祇園祭の陰の努力紹介 長刀鉾「資材方」が本出版

著書「祇園祭 祭事の継承」について語る寺川さん(京都市下京区・長刀鉾会所)
著書「祇園祭 祭事の継承」について語る寺川さん(京都市下京区・長刀鉾会所)

 祇園祭の長刀鉾(京都市下京区四条通烏丸東入ル)の蔵を管理する「資材方」の寺川哲雄さん(83)=山科区=がこのほど、神事に必要な物品や山鉾の部材をどう準備していくかを時系列で記した本「祇園祭 祭事の継承-長刀鉾資材方の役目」を出版した。華やかな行事や巡行を支える資材方の努力を垣間見ることができる。

 寺川さんは19歳のとき、車方にいた知人に誘われ長刀鉾保存会に入った。1989年、山鉾町では珍しい「資材方」を発足させ、その代表に就いた。昨年代表を退いたことから、後の世代へ祭りを引き継ごうと本の執筆を始めた。

 記述は、6月の最終日曜日に資材方全員が集合し、役員や稚児、禿(かむろ)の名簿を張り出す祭りの準備風景から始まる。祭りが本格化する7月1日の稚児の八坂神社(東山区)参拝「お千度の儀」以降は多忙な日々が続く。吉符入り(5日)に備えて毛せんを取り出すなど神事の準備をするほか、鉾建て(10日)へ向け鉾頭を蔵から取り出すなどの仕事が待っている。13日の「お位もらい」と呼ばれる「社参の儀」の日は、作業が夜までかかる上、翌朝も早いためホテルに宿泊する。

 巡行の17日は「(午前)6時には会所に入り準備をしなければならない。各人に衣服、道具、履物などを渡し、時を待つ」。巡行が終わっても仕事は残っている。「資材方は息継ぐ間もなく、飾り物、金具の取り外し、懸装品(けそうひん)の取り外し」を行う。18日も「傷んだ所がないか確認し、蔵より出した順番に元の場所に保管する」。そしてようやく「これで我々(われわれ)の作業も終わり。また来年に引き継ぐ」。

 寺川さんは「1年に1回しか準備しない行事が毎日続くのが祇園祭。平成のころはこうして祭りをしていた、と次代の人に知ってもらえれば」と話す。A5判。79ページ。京都新聞出版センター刊。一般には販売しないが、京都府立図書館(左京区)などに収蔵される予定。

【 2018年07月16日 13時00分 】

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