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戦前の五輪、日本選手応援歌のレコード今に 京都の男性保管

懐かしいメロディーに耳を傾ける上林さん(京都府宇治市宇治)
懐かしいメロディーに耳を傾ける上林さん(京都府宇治市宇治)

 1932(昭和7)年の米国ロサンゼルス五輪に出場する日本選手の応援歌を収めたレコードを、京都府宇治市宇治の老舗茶問屋「上林春松本店」会長の14代目、上林春松さん(86)が大切に保管している。戦局の悪化で40年の東京五輪開催が幻となったこともあり、2年後に東京五輪を控える今、上林さんはレコードを手に平和への思いを新たにしている。

 タイトルは「国際オリンピック派遣選手応援歌」。「走れ大地を」がサブタイトルで、山田耕筰(1886~1965年)が作曲した。軽快なリズムと歌詞が、選手たちを力強く鼓舞している。

 応援歌のレコードがいつから上林さん宅にあるのか分からないが、幼いころから、誕生祝いに贈られた蓄音機で童謡とともに繰り返し聴いていたという。「今でもメロディーを覚えている」と話す。

 東京五輪開催が36年に決まるが、翌年の盧溝橋事件をはじめ、戦局が悪化していく中、38年に開催中止が決まった。上林さんは「まだ子どもで戦争の印象の方が強かった。五輪開催が決まって盛り上がったり、中止になってショックを受けたりしたという記憶はない」と振り返る。

 上林さんは最近まで、幻の東京五輪の応援歌だと思っており、64(昭和39)年の東京五輪開催時には自分の子どもたちに曲を聞かせた。このレコードを蓄音機にかけたのは、それが最後になっていた。

 この夏のお盆過ぎ、半世紀以上ぶりに蓄音機を動かしてみると、きれいに曲を奏でた。上林さんは「鳴ってくれて良かった」と喜び、「記憶の中のリズムと一緒」と曲に合わせて体を揺らし、懐かしんだ。

 上林さんはレコードを手に「これまで安穏に暮らしてきたが、時代が変わった。憲法改正などの動きがあり、徴兵制ができ、戦争ができる国になるのではないかと心配。そんな時代が来ないように祈っている」と話す。

【 2018年09月25日 21時50分 】

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