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類例ない時期の「経帙」か 東寺、大般若経の覆い調査

平安中期に作られたことが分かった経帙。内側のほご紙の中央部分に1082年を表す「永保二年」の記述がある(京都市南区・東寺宝物館)
平安中期に作られたことが分かった経帙。内側のほご紙の中央部分に1082年を表す「永保二年」の記述がある(京都市南区・東寺宝物館)

 京都市南区の東寺(教王護国寺)で、奈良時代に書写された「大般若経」を保管するための覆い「経帙(きょうちつ)」の調査が進められている。内部に補強材として使われていたほご紙の記述から、現存する経帙の大半は平安時代中期に作られたことが判明した。現在、境内の宝物館で初公開されており、経を守るための先人の工夫を知ることができる。

 大般若経は三蔵法師として知られる玄奘が漢訳した600巻の経典。東寺の大般若経は平安時代に奉納されたとされる。現在597巻が残っており、保存状態がよく重要文化財に指定されている。

 経帙は数巻ずつの経典を保管したり、持ち運んだりするための巻物状の覆い。外側は竹ひごを縫い付けた色鮮やかな絹布でできていて、内側は和紙を張って補強している。平安時代以降、次第に経箱が広まり、今では使われていない。

 東寺には大般若経を覆ったとされる約20点の経帙が残っており、今夏から専門家が調べていた。調査の過程で大半はほご紙を使用していたが、使っていないものもあることが分かった。

 ほご紙の中には「永保二(1082)年」「永保三年」といった年号や東寺の僧に関わる記述があるものがあり、多くの経帙は平安時代中期に東寺のために作られたと判明。また、ほご紙ではなく厚めの薄茶色の紙を使用した経帙2点も確認した。これらは大般若経が納められた当時の経帙で、奈良時代後期から平安時代前期に作られた可能性が高いことが分かった。

 経帙ではすでに正倉院(奈良市)で奈良時代の作品と、神護寺(右京区)伝来の平安時代後期のものが確認されている。東寺の約20点はその間の時代の空白を埋める可能性が高い。

 東寺の新見康子・文化財保護課長は「ほかに類例のない時期の作品で貴重だ。経典、染織、工芸など多分野の専門家の協力を得てさらなる解明を進めたい」と話す。

 宝物館では10月22日まで「永保二年」の記述のある1点、同23日~11月25日までさらに古い時代の2点中の1点を展示する。有料。

【 2018年09月27日 11時50分 】

ニュース写真

  • 平安中期に作られたことが分かった経帙。内側のほご紙の中央部分に1082年を表す「永保二年」の記述がある(京都市南区・東寺宝物館)
  • 経帙に収められていた大般若経(左)などが並ぶ会場
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