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幻の珍味「アユのかす漬け」復活へ 京都・京丹後

伝統の味の復活に取り組む増田さんと試作したアユのかす漬け(京都府京丹後市丹後町・宇川アクティブライフハウス)
伝統の味の復活に取り組む増田さんと試作したアユのかす漬け(京都府京丹後市丹後町・宇川アクティブライフハウス)

 京都府京丹後市丹後町の宇川流域でかつて食された「アユのかす漬け」という料理がある。冬に京の酒蔵へと出稼ぎに赴いた「宇川杜氏(とうじ)」の文化と一大産地だったアユが融合した味覚だが、時代の変遷とともに失われた。「宇川の歴史や魅力が詰まった味を伝えたい」と、地元女性が今や幻の珍味となった食の復活に取り組んでいる。

 府や市によると、宇川は丹後半島を北流し、古くから天然アユが遡上(そじょう)。1950(昭和25)年から生態学者の故宮地伝三郎名誉教授を中心に京都大が30年にわたり調査するほど豊かに生息していた。

 流域の上宇川地域では、農業経営は零細で積雪も多く、江戸中期から農閑期には伏見の酒蔵への出稼ぎが始まった。丹後町誌によると、全盛期の39年には宇川杜氏は412人を数え、「伏見の醸造界を牛耳るまでに発展」と記している。宇川杜氏たちは郷里に持ち帰った酒かすで豊漁だったアユを漬け込み、冬には酒蔵への土産として持参したという。

 だが、農漁村の生活様式の変化や高齢化から杜氏が減少、宇川杜氏も20年ほど前にほぼ姿を消した。宇川の河川環境も変わったことで、アユの遡上数が減り、かす漬けは次第に作られなくなった。

 その伝統の味の再現に挑戦しているのは増田昌代さん(61)=同町遠下。同地域に嫁ぎ、アユを大切にする地域の文化を知ったといい、3年前に試作を始めた。塩漬け後に酒かすに漬け込むシンプルな製法だが、塩加減や漬ける日数などが難しいという。アユは夫の逸郎さん(60)の釣果に頼るが、昨年は台風で不漁。まだまだ試行錯誤が続くが、増田さんは「アユも少なくなったけれど、宇川の誇れる食の資源。地域の一員としてアユのかす漬けを再現して残していきたい」と話している。

【 2018年10月08日 21時00分 】

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