出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

八つ目に頭髪そり、いぼ吸うタコ 奉納された小絵馬展

眼病治癒を願った「八つ目」。栃木県足利市の大日尊の小絵馬
眼病治癒を願った「八つ目」。栃木県足利市の大日尊の小絵馬

 明治半ばから昭和40年代に各地の寺社で願いを託すために奉納された「小絵馬」が、京都市左京区岩倉木野町の京都民芸資料館で展示されている。京都精華大の山名伸生教授(美術史)が長年にわたって集めた約200点を紹介している。手描きの素朴な絵柄が庶民の喜怒哀楽を映し出す。

 現在は受験や健康に関する願い事を文字で書く形が一般的だが、昔は文字が苦手な庶民にも分かりやすいように絵柄で願いが託されていたという。山名教授は「江戸時代以降、江戸や上方を中心に専門の絵馬屋が生まれ、さまざまな図柄が考案された」と指摘する。

 かつて中京区の「蛸薬師堂(永福寺)」にあった小絵馬には「体のたこやいぼを吸い取る」と考えられていたタコが寺院の名前にちなんで描かれていた。奈良県ではカニが描かれた小絵馬があり、丈夫な歯を願ったとみられるという。

 人間の身体の一部も描かれた。明治期に繊維産業がさかんだった栃木県足利市の小絵馬は、眼病の治癒を祈って8個の目が描かれたものや、婦人病や性病からの回復を祈願して女性の足元のみが描かれたものがある。ほかに各地で子どもの健やかな成長を願う絵馬も多く、乳房からお乳が飛び出る様子を描いたユニークなものもある。山名教授は「名もなき人々の祈りの形を展示で見つめる機会にしてほしい」と話す。

 展示は10月の毎週日曜と11月18日のみ見学できる。無料。

【 2018年10月09日 10時38分 】

ニュース写真

  • 眼病治癒を願った「八つ目」。栃木県足利市の大日尊の小絵馬
京都新聞デジタル版のご案内

    観光・社寺のニュース