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くり、マツタケ…丹波ブランドの危機感は? 近年は「京都」強調

京都府と兵庫県合同で行われた丹波くりの広域品評会(南丹市園部町・市国際交流会館)
京都府と兵庫県合同で行われた丹波くりの広域品評会(南丹市園部町・市国際交流会館)

 丹波くり、丹波マツタケ、丹波黒大豆、丹波大納言小豆…。京都府と兵庫県の丹波地域は長年、「丹波ブランド」で競い合ってきた。兵庫県篠山市が「丹波篠山市」に改名されれば、丹波のイメージが兵庫に奪われることも予想されるが、京都の農業関係者に大きな危機感はなかった。その背景を探ると…。

 10月5日、南丹市園部町の市国際交流会館で京都府と兵庫県産の丹波くりが一堂に集められた。粒の大きさ、色つやなどを競う2府県合同の品評会。昨年に続く2回目の開催で、実行委員長の栗農家山内善継さん(77)=京丹波町=は「同じ丹波として全国的にブランド価値を上げようと議論し合った結果だ。産地としては長年ライバル関係にあったので、大きな前進」と話す。

 かつて、京都側は丹波ブランド保護のために、いち早く動いたことがあった。地域ブランドを商標として認める「地域団体商標制度」ができた2006年、JA全農京都は「丹波くり」や「丹波黒大豆」などの名称を登録しようと特許庁に申請した。結局、同庁は「兵庫県との区別ができない」として認めなかった。JA全農兵庫と合同申請する動きもあったようだが、実現しなかった。

 対立の火だねが生まれたように見えたが、京都、兵庫の7市町で「大丹波連携推進協議会」が10年に設置されてからは、一転、協調路線が築かれ始めた。首都圏で観光や農産品のPR活動を行い、丹波くりの合同品評会もこの動きの中で実現した。

 府県には共通の課題があった。丹波くりは、全国的にも知られるブランド品であるにもかかわらず、生産量は両府県とも全国トップ10に入らない。合同で開くことで知名度をさらに高め、新たな生産者や後継者を増やしたいとの狙いがある。篠山市の改名問題に、山内さんは「丹波の名前が有名になれば、相乗効果が生まれる。兵庫県側が宣伝上手なのは歓迎」と期待感さえ持つ。

 京都の関係者が冷静なのは、近年、丹波ブランドよりも京都ブランドで売り出していることも理由だ。

 京都府は11年、亀岡市、南丹市、京丹波町を示す地域名を「京都丹波」で統一化した。これまでは「南丹」と表現することが多かった、という。観光パンフレットやイベントの名称、農産物や特産品のラベルなどに使い続け、徐々に浸透しつつある。

 「京都の丹波は、かつて都の台所だったと客に説明すると、目の色が変わる」。丹波くりなどを独自にブランド認証してきた公益社団法人「京のふるさと産品協会」(京都市下京区)の和田豊明企画調査課長は言い切る。

 首都圏にPRに行くと、最初に強調するのは「丹波」ではなく、「京都」。東京の百貨店バイヤーにも京都の丹波くりや丹波黒大豆の信頼度は高いという。「兵庫のことをどうこういうより、京都ブランドをいかに上げるかを考えている」と改名騒動は視野に入っていない。

 兵庫県に丹波篠山市が誕生しても、「京都丹波」のブランドには影響がないということなのか。府内の丹波地域の人たちの関心はそれほど高くないようだ。

【 2018年10月25日 10時11分 】

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