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堀川団地「本」を核にまち再生 活版印刷機や製本工房も整備

堀川アート&クラフトセンター(仮称)の整備予定地と、堀川団地の店舗で構成している堀川商店街(京都市上京区)
堀川アート&クラフトセンター(仮称)の整備予定地と、堀川団地の店舗で構成している堀川商店街(京都市上京区)

 京都府が整備した日本初の店舗付き団地で戦後の復興の象徴となった堀川団地(京都市上京区)に2020年春、「本」をキーワードとして若手職人や芸術家が集う「堀川アート&クラフトセンター」(仮称)が誕生する。幅広い世代が訪れる書店を舞台に、若手作家らが作品を展示販売する。印刷・製本工房もあり、作り手の思いや世界観を伝える小冊子を発行する。人々とアート・クラフトとの距離を縮めるとともに、若手作家を身近な生活文化の担い手として育て、文化を核としたまち再生の拠点化を目指す。

 センターは3階建てで、堀川団地の北端にあった棟の跡地約700平方メートルに新設する。事業主体は大垣書店(北区)。1階は書店と作家らの作品を展示販売するコーナー、活版印刷機や多様な材質の紙をそろえた印刷・製本工房を設ける。2階には作家らが交流できるシェアオフィスとイベントスペース、飲食店を確保する。3階は作家らが長期滞在しながら創作する「アーティスト・イン・レジデンス」とする。

 目玉施設の印刷・製本工房では、海外で一般的な自主制作本「ZINE(ジン)」を、センターに集まった作家が制作することを想定する。ZINEはB6判、16~24ページ程度の小冊子で、コラムや写真、イラストなど自由な発想で手作りするのが特徴だ。

 例えば、若手作家が自らの思いを込めたZINEを工房で制作、書店で販売し、建物内のさまざまな場所に自らのアートやクラフト作品を展示。それぞれの魅力を客らに伝え、作品の販売につなげる。

 若手作家にとって、知名度向上と販売場所の確保は大きな課題になっている。大垣書店は昨年から堀川団地内でイベントスペース「堀川AC Lab(ラボ)」を運営し、作品だけでなく、作家自らが影響を受けた本も一緒に展示する企画を16回開催。本を通じて作家と客の会話が弾み、作品が売れた事例が多くあったという。大垣守可総合企画部課長代理は「本が媒介しアートとの敷居が低くなる。センターでも本を中心に発信し、海外からも来たいと思われる場にしたい」とする。

 21年度中の文化庁の京都移転を機に、地域に根差した「生活文化」の振興策を全国が模索している。府も文化庁予算を活用しながら若手作家の支援などに取り組んでおり、西脇隆俊府知事は「文化の担い手を育てつつ、まち再生につなげて文化政策の成功事例にしたい」と意気込んでいる。

【 2019年01月21日 10時01分 】

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