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スマホ登山アプリどこまで有用? 京都最高峰で山岳ガイドと検証

圏外でも現在地を示す登山アプリ。ただ、左右のスマホでは現在地の表示に微妙なずれが生じた(大津市葛川坂下町)
圏外でも現在地を示す登山アプリ。ただ、左右のスマホでは現在地の表示に微妙なずれが生じた(大津市葛川坂下町)

 山岳遭難数が高止まりする中、道迷い防止にスマートフォンの登山アプリが注目を集めている。GPSで現在地を把握しながら行動でき、万一の救助の際にも遭難地点を的確に伝えられるというのが特徴だ。本当に有用なのか。記者と山岳ガイドが実際に登山で使ってみた。

■検証では誤差30m程度、バッテリー減り早く

 昨年12月下旬、京都府最高峰の皆子山(みなごやま)(972メートル)に、元府山岳連盟理事長の山岳ガイド宮永幸男さん(70)=京都市南区=と向かった。滋賀県側から登るルートで、複数の小さな支流が合流して迷いやすく、過去には小中学生ら13人が遭難する事故も発生している。使ったのは人気のアプリ「YAMAP」だ。

 登山口の気温は2度で、日陰には雪が残る。登山道は、谷川に沿っており、歩き出して数分で携帯電話は圏外になった。しかし、アプリは記者たちの現在地を示し続ける。圏外でもGPSが作動するためだ。

 ただ、よく見ると精度は少々心もとない。宮永さんと記者のアプリは、同じ場所にいても10~30メートルほど違う地点を示している。川の左岸にいるのに、現在地が右岸側を示すこともあり、20~30メートルほどの誤差になることもあった。

 それでも、登山道と自分の現在地、通ってきたルート、緯度経度が表示され、数カ所ある谷の分岐で間違うことはなかった。もし間違えても、自分のたどってきたルートがアプリに表示されるため、迷わず戻ることができる。途中から倒木や土砂崩れで道が不明瞭になり、谷川も何度か歩いて渡ったが、無事に目的地まで導いてくれた。

 アプリを常に起動しているため、スマホの電池は通常より早く減った。3時間程度の行動で、記者のは25%、機内モードにしていた宮永さんのも10%程度電池が減った。今回の気温は2~3度ほどだったが、低温の雪山ではもっと早く減るという。電池の減りやGPSの誤差は、スマホの機種や使用年月によって異なるという。

■ルート知らなければ「猫に小判」、地形図とコンパスは必須

アプリは道迷い遭難防止にどのくらい有用か。宮永さんと振り返った。

 -圏外でも現在地を示し続けるので、威力を発揮するのでは。

 「現在地が常に分かるのは強みで、ルートは大きく外さない。ただ、自分がどこを通って山頂や下山地点に至るかを把握していないと『猫に小判』になる」

 「スマホは電池切れや水没のリスクもあり、あくまで紙の地形図とコンパスの補助として使う方がいい」

 -現在地の誤差が数十メートル程度は出るのは問題か。

 「登山道がある山なら大きな問題にはならない。ただ、吹雪で視界の悪い雪稜では、数メートルの誤差が命取りになる。シビアな条件では、経験や読図力、判断力が重要で、アプリに依存はできない」

 -電池の減りはどう防止すればいい。

 「機内モードにすれば、かなり減りを防げる。日帰り山行でも万一のため、予備バッテリーは必携だ」

 -万一の救助にも役に立つと言えるか。

 「圏外でも緯度経度が詳細に表示され、消防や警察に伝えれば捜索は早くなる。ただ、安易な救助要請につながってはいけない」

【 2019年02月05日 10時40分 】

ニュース写真

  • 圏外でも現在地を示す登山アプリ。ただ、左右のスマホでは現在地の表示に微妙なずれが生じた(大津市葛川坂下町)
  • 谷の分岐でアプリで現在地を確認する宮永さん(左)と記者。アプリのおかげで、進路に迷うことはなかった=大津市葛川坂下町
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