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京都ときめきごはん旅 ラクサ(シンガポール)

ランチタイム(午前11~午後3時)限定のシンガポールラクサセット950円。太めの米麺を使っている
ランチタイム(午前11~午後3時)限定のシンガポールラクサセット950円。太めの米麺を使っている

 出発の春。多くの人が進学や就職のため故郷を離れ、新生活をスタートさせる時期だ。初めは新しい環境になじめず、ふいに家庭の味が恋しくなったりもする。だが、人間はたくましい。やがてその土地に溶け込み、そこにある文化を生かして新しいものを生み出すこともある。

 多民族国家で知られるマレーシアやシンガポールには、15世紀前後に移民として渡ってきた中国人を先祖に持つ中華系民族が多数暮らしている。ほとんどが男性だった最初の移民は、現地のマレー人女性と結婚し、両者の食文化を融合させた独自の家庭料理を作り出した。それらを総じて「ニョニャ料理」と呼ぶ。ダイコンやクウシンサイ、しょうゆなど中国系の食品を用いながら、ココナツミルクやヤシ油、エビの塩辛などマレー系の調味料やスパイス類で独特の風味に仕上げるのが特徴だ。

 ニョニャ料理随一の出世頭といえば、近年日本でも人気上昇中の麺料理ラクサだろう。アジア圏のローカルフードと中国茶を売りにするカフェ桃山78の店主・加地真也さん(56)は、「麺は中国、ココナツカレー風味のスープはマレー由来ですから、ニョニャ料理の典型ですよね。いつしかマレー系やインド系など他の民族にも受け入れられ、現在各地で具材や麺のタイプが異なるご当地ラクサが確立されているようです」とラクサ事情を教えてくれた。

 同店では「独特のまろやかな辛さがクセになる」と、ラクサを目当てに通い続ける人も少なくないという。その昔、中華系民族の先祖たちもそうやって未体験の味に魅了され、祖国のエッセンスを加えた家庭の味を紡ぎ出していったのかもしれない。

(ライター・岡田香絵)

<お店情報>

 ■カフェ桃山78    京都市伏見区風呂屋町260-2。075(601)6837。午前11時~午後10時半(ラストオーダー)。日曜、その他不定休。ランチ800円、ディナー1500円から。

【 2019年04月08日 15時50分 】

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  • ランチタイム(午前11~午後3時)限定のシンガポールラクサセット950円。太めの米麺を使っている
  • 気さくな夫婦が営む地域密着のカフェ。伏見の地酒や今話題のタピオカミルクティーなども楽しめる(京都市伏見区)
  • カフェ桃山78
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