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社説: 日本遺産5年 テーマ磨くのも大切だ

 地域には、有形、無形の文化財が、まだまだ多く残っている。

 これらについて、魅力あるテーマを設けてまとめ、内外に発信する文化庁の「日本遺産」制度が、5年目を迎えた。

 本年度は、京都などの西国三十三所観音巡礼を取り上げた「1300年つづく日本の終活の旅」はじめ16件が加わり、初年度の2015年度からの合計は83件に達した。認定された地域は、東京都を除く46道府県に及ぶ。

 このようなかたちで、各地域の魅力を高めていくのは意義深いことだ。今後も新たなテーマを発掘して、地域のブランド力向上に、つなげてもらいたい。

 日本遺産は、保全が厳しく求められる国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界遺産」とは異なり、地域の文化財を観光資源として積極的に活用することを目的としている。

 寺社や城郭など有形のものだけでなく、祭り、伝統芸能といった無形の文化財も加えて構成されるのが特徴だ。

 文化庁の有識者委員会が、申請された案件の物語性と地域振興策を審査して認定すると、多言語のホームページ作成といった取り組みに財政支援がある。

 すでに日本遺産となった京都府北部の「丹後ちりめん回廊」や、滋賀県と三重県の「忍びの里 伊賀・甲賀」などは、認定案件の典型といえよう。

 こうしたテーマ設定は、観光振興に大いに役立つはずだ。

 寺社と路地の街並みや、中世の「村上海賊」ゆかりの文化財など3件の日本遺産がある広島県尾道市では、認定後に外国人観光客が倍増した。

 多様な言語で紹介されれば、外国人にも理解しやすい。

 昨年、初めて3千万人を超えた訪日外国人のにぎわいを、東京と富士山、関西を結ぶゴールデンルート以外にも広げるツールとして、日本遺産を活用したい。

 文化庁は、東京五輪・パラリンピックのある20年度までに、日本遺産を100件程度まで増やしておきたいと考えている。

 ただ、件数が増えすぎると、個々の地域の印象が弱まりはしないか、心配だ。また、物語性を重視するあまり、無理なテーマ設定をしていては、旅行者の不興を買うことにもなりかねない。

 これからは、新たな案件は厳選し、せっかく認定されたテーマが飽きられないよう、磨きをかけていくことも大切だろう。

【 2019年05月21日 12時15分 】

岸田繁 交響曲第一番・第二番 連続演奏会 2019.10.5

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