出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

姿消す京都の「お茶屋」 移住の女性、文化複合施設で再活用

五条モール内で営む居酒屋で、菊浜の魅力を語る永谷さん(京都市下京区菊浜)
五条モール内で営む居酒屋で、菊浜の魅力を語る永谷さん(京都市下京区菊浜)

 路地に連なる旧お茶屋、町の真ん中を流れる高瀬川のせせらぎ―。京都市下京区菊浜の町並みに引かれ、空き家だった旧お茶屋を生かした文化複合施設「五条モール」を運営する永谷咲子さん(44)=東山区。「趣深い建物を生かした活用モデルにしたかった」。地域のにぎわいづくりにも取り組み、新風を吹き込もうと奮闘する。

 香川県高松市の出身。子どもの頃から古い家屋や民芸品など、歴史を感じるものが好きだった。昔ながらの町並みが残る京都に憧れ、大学入学と同時に住んだ。

 菊浜に通うようになったのは15年ほど前、長女が地元の保育園に入園したのがきっかけ。大正から昭和期に建てられたお茶屋が並び、艶やかな雰囲気を醸す町に興味を持った。だが娘の送り迎えを繰り返すうち、お茶屋が次々に取り壊され駐車場や更地に変わる現状を目の当たりにした。「まちの風情が失われていくのはもったいない」

 建物の活用策を考える中で、近くの銭湯の番台にアルバイトとして座ることになった。地域住民の社交場で「顔なじみになって受け入れてもらいたかった」とほほ笑む。

 6年前、築約90年で2階建ての旧お茶屋を友人らと借り、五条モールを開店。年季を感じさせる木の柱や壁材のモルタルもお気に入りだ。現在、全国の旧遊郭の写真を扱うギャラリーや、アクセサリー、陶器の雑貨店などが部屋ごとに入る。自身もモール内で居酒屋を営み、間接照明に縁取られたカウンター席には、地元住民やにぎわいづくりに取り組む人たちが日ごと集まり、夜更けまで盛り上がる。

 菊浜などの有志の商店主らと昨年に結成した、まちの活性化を目指す期間限定のグループ「シモヒガ140」の代表も担い、多彩な仕掛けを企画する。「長屋のように隣近所が顔見知りで、お互いに助け合えるまちになれば」と夢を描いている。

【 2019年06月11日 16時13分 】

ニュース写真

  • 五条モール内で営む居酒屋で、菊浜の魅力を語る永谷さん(京都市下京区菊浜)
  • 旧お茶屋の建物を活用した五条モールの外観
京都新聞デジタル版のご案内

    観光・社寺のニュース