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自らの嗅覚信じ良書発掘

IDEA BOOKSアジア代理人 大西樹里さん
IDEA BOOKSアジア代理人 大西樹里さん
IDEA BOOKSアジア代理人 大西樹里さん

 オランダにある美術洋書専門の卸会社「IDEA BOOKS」の代理人として、中国を除くアジア地域の仕入れを担当している。「流通に乗りにくいが、特別な思いが込められた本を誰かに届ける橋渡しができれば」と話す。

 仕事は大きく二つ。同社が世界中から厳選した現代アートや建築、写真の本を書店や出版社に売り込む。日本では、恵文社一乗寺店(京都市左京区)や代官山蔦屋書店(東京都)などが得意先だ。

 もう一つは、世界に紹介したいアジアの良書を見つけ出すこと。大切なのは「無名でも、もうからなくても、何かを発信したいという思いの強さ」。自らの嗅覚を信じ、売り出した本は米ニューヨーク近代美術館などに並ぶ。

 「今しかできないことをしよう」。高校3年時に1年間、交換留学で米国へ。異国の地で周囲とコミュニケーションする際によく絵を描いた経験から美術に興味を持ち、大学では洋画を専攻。卒業後、芸術家を志す友人が多かったが、「人前に出るのは苦手。自己表現できる美術、語学、旅の経験を生かしたい」と、海外事業を立ち上げて間もない出版社に就職した。

 米独で販路を広げながら、現地調達した本を京都で販売。「今の仕事につながるノウハウをたたき上げで学んだ」と修行時代を振り返る。その頃に知り合ったのが「IDEA BOOKS」で、4年後に退社した際、日本の代理人として声が掛かった。長らく教授秘書との二足のわらじだったが、2003年からアジアも任され現職に専念。全力で駆け抜けてきた。

 全国の個性的な書店に頼られることも少なくないが、「ご縁のあった人によって生かされている」と感じる。「その時々の関わりの中で新しいことが生まれる。自分のできることで誰かの役に立てるよう誠実に向き合っていきたい」。人と人とのつながりを大切に、本との出会いを裏方で支える。

おおにし・じゅり 京都精華大卒。美術出版で知られた京都書院を経て、1994年からIDEA BOOKSと代理人契約を結ぶ。趣味はダイビングで、お気に入りは島根県・隠岐の島。京都市下京区出身。左京区で夫、愛犬と暮らす。47歳。

【2014年06月15日掲載】