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精神障害者の雇用、企業が注目 特性応じた支援模索

製造現場で働く女性(右)。人手不足の中、貴重な戦力となっている=京都市南区・西村製作所
製造現場で働く女性(右)。人手不足の中、貴重な戦力となっている=京都市南区・西村製作所

 精神障害がある人の雇用に、企業の関心が高まっている。今年4月から、障害者雇用率の算定基準に精神障害者が加わったことが一因だ。京都や滋賀の中小や大手では、精神障害者の体調に応じた仕事の仕方を指示したり、外部識者の助言が受けられる専用ツールを活用したりして、受け入れ体制を整えている。

 「プライベートなことも話しやすいのでありがたいです」。自動切断巻き取り機製造の西村製作所(京都市南区)で働くパート社員の女性(41)はそう話す。女性は統合失調症があるが、薬を服用しながら毎日出勤している。体調が悪いと上司にすぐに連絡するほか、面談も毎月受けて仕事や生活の状況を伝えている。

 同社は4年前、精神障害者の雇用を始めた。当初は採用した社員が体調不良時に「力を発揮できない」と欠勤することも多かったが、「仕事を減らしたり、ペースを落としたりしていいから」と促すことで欠勤が減ったという。

 現在はこの女性を含めて精神障害がある女性3人が働く。採用した担当者は「毎日、無理せず、安定して出勤してもらうことを優先している。仕事への意欲が高く、作業も正確。今後も働き続けてほしい」と話す。

 京都労働局によると、ハローワークを通じて精神障害者が就職した件数は年々増えている。2017年度は1105件と前年度から20・4%増加。4月からは企業に求められる障害者雇用率が0・2ポイント引き上げられて2・2%となり、算定基準に精神障害者が含まれるようになった。同局は「企業の精神障害者の採用意欲はさらに高まる」とみる。

 精神障害者の状況は一人一人で異なる。そのため、同局は障害の特性を理解する社員を養成する講座を開くなど、支援体制を充実させている。各企業も、工夫を凝らしながら対応を模索している。

 島津製作所は16年から精神障害者向けに開発されたウェブ日報ソフト「SPIS(エスピス)」を用い、就労を支援している。精神疾患のある社員らは毎日、「気分の浮き沈みがある」「睡眠が取れていない」など6~7項目を4段階でチェックし、日々の体調も書き込む。上司らが随時確認して返信するほか、外部の専門家も助言する仕組みだ。

 現在は計6人の社員が活用している。体調の推移をグラフ化して人事担当者らで共有できるほか、社員にとっても見守られている安心感があるという。外部の専門家の指摘を受け、接し方を改善した上司もいたという。

 人事部の境浩史マネージャーは「障害者雇用率を達成するためには、精神障害者の採用数が必然的に増えていく。SPISなどを使って各職場の理解を深めていきたい」と意気込む。

【 2018年06月04日 08時53分 】

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