出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

ロデオ姿のサルとイノシシは今 京都、ブームから8年

8年前のみわちゃんとウリ坊。愛らしい姿が全国的に話題となった
8年前のみわちゃんとウリ坊。愛らしい姿が全国的に話題となった

 「みわちゃんとウリ坊」を覚えていますか。生まれたばかりのニホンザルが、小さなイノシシの背中にしがみつき、園内を駆け回る姿が話題となった-。そう、福知山市動物園(同市猪崎)のあのアイドルたちです。ブームから8年が過ぎ、2匹は今も元気にしているのだろうか。久しぶりに会いに行ってみた。

 午前9時の開園に合わせてゲートをくぐり、正門の左手すぐにあるオリに向かった。2匹は今も一緒に飼われているという。大人になっても、仲良くじゃれ合ったりしてるのかな…。そんな想像を巡らせながらオリに近づくと、期待はもろくも打ち砕かれた。

 ガッシャーン! 突然、目の前の金網に何かが飛びかかってきた。立派な体格をした雄ザル。あまりの迫力に思わず後ずさりしてしまう。8歳になったみわである。その近くには、体長1・5メートル近くになったイノシシが、鼻息荒く土を掘り返している。こちらはウリ坊だ。

 見物に訪れた植森直樹さん(44)=大津市=は「いきなり威嚇されて怖かった。あの頃の2匹はどこに…」と困惑ぎみ。二本松俊邦園長(73)によると、みわは自分をボス猿だと思っており、縄張りを守るために威嚇しているのだという。

 もともと2匹は野生で、みわは親と死別、ウリ坊は親とはぐれ、ともに生後1カ月で動物園にやってきた。みわがウリ坊の背中に飛び乗る“ロデオ姿”が話題となり、2010年度の入園者数は前年度から3倍増の19万人に。福知山を一躍、全国区に押し上げた。

 だが、2匹の成長に伴い、園内での散歩も終了することになり、ブームは1年で消え去った。以降も、みわとウリ坊は同じオリの中で暮らしてきたが、すっかり大きくなった2匹に、いつの間にか誰も見向きもしなくなっていった。

 夕方の閉園まで、2匹の様子を観察してみた。飼育員によると、みわは今でもウリ坊にちょっかいを掛けながら背中に飛び乗っている。まさに兄弟のような関係という。そう言われて、改めてみわを見てみれば、つぶらな瞳はあの頃と変わらない澄んだ目をしている。粗暴な振る舞いも、ウリ坊との「家」を守るための行動なのか。ウリ坊も記者に興味ありげに近づいてきて、どこかかわいらしい。

 人里では害獣として疎まれるサルとイノシシ。どういう因果か、巡り合った2匹に、人々はかつては熱狂し、やがてすぐに忘れ去ってゆく。夕暮れ、静まり返った園を後にしようと最後に振り返ると、みわが悠然とした態度で視線を送ってきた。「人間の世界も大変やなあ」。そんな言葉をつぶやいているように、思えてならなかった。

【 2018年06月10日 11時40分 】

ニュース写真

  • 8年前のみわちゃんとウリ坊。愛らしい姿が全国的に話題となった
  • 今もエサを一緒を食べるみわとウリ坊(福知山市猪崎・市動物園)
  • オリの中から悠然とした態度で園内を見渡すみわ(6月6日、福知山市猪崎・福知山市動物園)
京都新聞デジタル版のご案内

    地域のニュース

    全国のニュース