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性暴力のない世界へ、ポルノ被害など討論 京都で研究会

大阪国際大の谷口准教授が登壇した2回目の公開研究会(京都市伏見区・龍谷大深草キャンパス)
大阪国際大の谷口准教授が登壇した2回目の公開研究会(京都市伏見区・龍谷大深草キャンパス)

 性暴力やセクハラに対する社会のありようを考える公開研究会が、京都市伏見区の龍谷大深草キャンパスで始まった。過去を振り返りながら問題点を議論し、性暴力のない世界への一歩につなげる狙い。主催する同大学犯罪学研究センター博士研究員の牧野雅子さんは「現状をどう変えていくのか、まずはスタートラインに立ちたい」と話す。

 かつて犯罪とみなされていなかった痴漢が条例制定などによって犯罪化されるなど、取り巻く環境は一定改善してきた。しかし、依然として性暴力が起こり、ネット上での被害といった新たな問題も顕在化している。

 公開研究会は、研究者や弁護士、被害者支援団体のメンバーらが報告する形式で、11月まで計6回開催する。8月4日にあった初回は、電話相談や啓発活動に取り組む「性暴力を許さない女の会」のメンバーと、作家の北原みのりさんが登壇。電車内での痴漢行為を注意した女性がその加害者たちから性的暴行を受けた1988年の「地下鉄御堂筋線事件」などをテーマに話した。

 8月25日の2回目は、国際人権法やジェンダー法に詳しい谷口真由美・大阪国際大准教授が、人権問題としてセクハラをとらえる必要性を訴えた。

 次回は9月22日午後2時から。「ポルノ被害と性暴力を考える会」(PAPS)の金尻カズナさんが、AV出演やリベンジポルノなどの被害相談の現場から報告する。

 以降は、「メディアで働く女性ネットワーク」を立ち上げたジャーナリストの林美子さん、日本初のセクハラ裁判の支援代表を務め、セクハラ問題に詳しい牟田和恵・大阪大大学院教授、女性の権利に関わる事件を数多く手掛ける角田由紀子弁護士が話す。

 各回とも無料。申し込み不要。

 ■人権意識の欠如根底に

 谷口真由美・大阪国際大准教授は8月25日の公開研究会で、「人権という概念が私たちの中にない」とし、人権意識の欠如がセクハラや女性差別が続く日本社会の底流にあると指摘した。

 その背景として「フランス革命のような近代市民革命を経ていないため、何となくずっと人権が恩恵的に降ってきている」ことを挙げた。人権は対等な人間として認め合ったものであり、「対等でないときは戦わないといけないが、自分の人権に無自覚な人が多い。だから他者の人権にもっと無自覚になる」という。だが、グローバル社会といわれる現在、経済や金融だけでなく、人権もグローバルスタンダードが求められるとした。

 前財務事務次官のセクハラ問題を機に「メディアにおけるセクハラを考える会」を立ち上げた谷口准教授は、「メディアはクローズドコミュニティー。性暴力やセクハラに対して鈍い。抜本的対策と報道の在り方を問い直さないといけない」と話した。

【 2018年09月11日 16時30分 】

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