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雨水でしのいだ住人も 災害弱者、避難時の支援重要

西日本豪雨での被害を受け大呂集落に配備された発電機(舞鶴市桑飼上)
西日本豪雨での被害を受け大呂集落に配備された発電機(舞鶴市桑飼上)

 軽快なエンジン音とともに照明がつくと、集まった住人が安堵(あんど)の表情を浮かべた。舞鶴市桑飼上の大呂集落で16日、プロパンガス発電機と発光ダイオード(LED)投光器が配備された。集落がある小原自治会の新宮利昭区長(75)は「災害時の備えとしてありがたい」と喜んだ。

 大呂集落は7月の西日本豪雨の際、冠水に加え土砂崩れで集落外と唯一つながる府道がふさがれ3日間孤立した。1人暮らしの高齢者ら5世帯7人は電気や水道、電話が止まる状況に置かれた。テレビが見られないため災害に関する情報が得られず、消防隊員らが山を登って救援物資を運び入れるまで雨水や川の水を飲んでしのいだ住人もいた。河合淳さん(83)は「集落は80歳以上の高齢者ばかり。災害の対応をしようにも体力的にきつくどうしようもなかった」と振り返る。

 市内には、外部と行き来できる道が1本しかなく災害時に孤立の恐れがある同様の集落が市街地から離れた加佐、大浦地域などに点在する。市は「基本的には明るいうちに早めの避難をお願いする」(市危機管理・防災課)との考えで豪雨以降、台風接近などの場合に初期段階で開設する避難所を5カ所から22カ所に増やした。

 また高齢者と同じく障害者も災害では周囲の支援が必要になる。由良川沿いの加佐地域にある障害者支援施設「みずなぎ学園」(同市丸田)は豪雨時、周囲が冠水し身動きが取れなくなった。入所者約60人がおり、過去の水害を教訓に施設が孤立する前に職員を招集して通常の業務に当たれたが、隣接地には通所施設もある。

 濱田康寛施設長(58)は「災害の最中に職員が1軒ずつ訪問し支援することは難しい。高齢の親と同居している通所者もおり地域の助けが必要になる」と指摘する。

 国は高齢者や障害者ら災害弱者支援として、自力の避難が難しい要支援者の名簿作成を市町村に義務付け、支援者や避難場所などを盛り込んだ個別計画の策定も求めている。ただ計画の実効性には不透明な部分がある。

 舞鶴市は9月30日現在で6692人の要支援者を把握し、65%の4363人分の計画を作っている。市福祉企画課によると、支援者はさまざまな状況を想定して3人まで登録できるようになっているが、全枠が埋まっている例はほとんどない。同課は「支援者は複数人が必要。計画の実効性を高めることが大きな課題だ」とする。

 <連載 豪雨の教訓 京都府北部の現場4> 7月、西日本豪雨が京都府を襲った。記録的な雨は山を崩し、川を氾濫させ、5人の命と多くの人の暮らしを奪った。豪雨が私たちに突きつけた教訓とは何だったか。府北部の現場を検証する。

【 2018年10月29日 15時00分 】

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